見出し画像

アーティストの「ノートブックス」について(ガブリエル・オロスコ)/一日一微発見158

アーティストは、毎日、「労働」をしているのだろうか?
くだらない書き出しかもしれない。

以前、陶芸家のバーナード・リーチが、器にスミレの絵を描き、「すみれはどんな労働をしているのか?」という意味のフレーズを器の表面に描いていたのを展覧会で見たのを思い出す(今、確認をしようと調べたが、すぐに証拠を見つけられなかった。だが夢ではない)。

リーチはバハイ教に帰依し、特別な宗教観を持っていたからかも知れない。

労働などという概念を作ったのは人間様だけであって、ツバメは子育ての虫取りをせわしなくしているが、あれは労働ではないだろう。このニュアンスの違いはどこにあるのだろう?

アーティストのしている事は、ツバメやビーバーが巣作りをしている事と似ているのだろうか?
たしかに絵描きが筆を走らせるのは、クモが糸をのばすのに似ていなくはない、と言えなくはない。

ここに、1冊の本がある。それをかえすがえす見て過ごしている。
アーティストのガブリエル・オロスコの本『WRITTEN MATTER』である。

パリのマリアングッドマンギャラリーから送られてくるニューズレターを見て、すぐに注文した。コロナがひどくなった頃に注文した。
それを生活の合間に取り出して見るのは、喜びだ。

今日また、マリアングッドマンから別のニューズレター(オロスコの近作についての)がきて、思い出して、再び取り出して見ているのである。
この本は素晴らしい。

なぜなら、オロスコの1992年から20年間にわたって綴られた12冊の「notebooks」を清書、セレクトし、1冊の本にしたものだからだ。
時間が沢山詰まっている。
本に「位」と言うものがあるとしたら、最高位をつけたっていい。それぐらい素晴らしいと思う。

ここから先は

873字

¥ 150

応援よろしくね~