人間の「劣化」問題・キューブリック展で思ったこと/一日一微発見028
先日、ロンドンのデザインミュージアムで、映画監督のスタンリー・キューブリックの大回顧展を見た。
デビュー作から未完成の「ナポレオン」などの実現できなかった構想まで、一本ずつの作品がどのように作られたか。
シナリオやメイキング映像だけでなく、それぞれの作品にまつわる小物や写真が展示空間にぎっしりつめこまれていた。
実に見事に整理され、量だけでなく、深さを体験できるすばらしいキュレーションだった。
作品とキューブリックの人生がひとつのものとして整理されていたのである。
「遺品」は個人のものでも、過去のものでもなく、全く「未来」のものとして、整理され「遺物」ではなかった。
ここから先は
1,805字
/
1画像
編集者・アートプロデューサー・京都造形芸術大学教授/後藤繁雄です。
アートや編集のこと、思考、アイデア、日々起きていることなどをその都度書いていきます。
ここでの文章はハウトゥにはならないと思いますが、知性や感性を刺激したい人に読んでもらったらいいかなと思います。
僕は、人は、大きな出会いがやってきて変わるというより、微妙なものに気がついてだんだん変わることのほうが「可能性」が高いと思う。「微発見」。
それには、訓練が必要で、この「一日一微発見」も、僕の訓練法のひとつです。
アート思考・後藤繁雄の一日一微発見
¥1,000 / 月
初月無料
「一日一微発見」というのは、僕が師匠だと思っている文化人類学者、故・岩田慶治が日々やっていたこと。 僕はそこからヒントをもらって、もう15…
応援よろしくね~