僕編2章

「編集力」と「価値」をめぐって/僕たちは編集しながら生きている 2

※このマガジンは、後藤繁雄が1996年から続けている「スーパースクール」のスクーリングの内容をもとに、2004年に初版出版された「僕たちは編集しながら生きている」の文章を加筆修正し、2010年に出版した「僕たちは編集しながら生きている・増補新版」の文章をそのまま掲載しています。年代やプロジェクト、事例はその当時のままとなり、現在は行われていないものもあります。

※別ページでの解説、「注釈欄」はこのマガジンでは省略します

※このマガジンに使われているスクーリングの内容をアップデイトした形で、現在も「スーパースクール」は、DMMオンラインサロンを利用した東京スクーリングと、浜松スクーリングを開催しています。詳細は、後藤繁雄のHPをご覧ください。

01 「編集という仕事」について 


 では、第2回目のスクールを始めましょう。
 前回書いていただいたプロフィール・シートを拝見しました。それぞれのメッセージ、とてもおもしろかったです。

スーパースクールをずっとやっていて、本当に実感するのは、このスクールには、年齢や職業を超えて、本当にいろんな人たちが集まっているなぁってことですね。どこでこのスクールを知ったんですか?って思わず聞いてしまいたくなるような人が来てくれて、ほんとに「出会い系」の場になっていると思います(笑)。今、アンケートを整理して、ウェブ上で見れるようにしていますので、待っていてください。 


 さて、約30人中10人が「編集者になりたい。もっとやりたい」とおっしゃる学生やプロの方。それから10人が「ある種の表現者になりたい」、そして残りの10人が「今自分がしている仕事に発想としてプラスになれば」という比率でした。だいたい予想していた比率ですね。前回は第1回目ということで、スーパースクールにおける「編集の捉え方」や、「目指すもの」についてしゃべりました。 


 今日は「編集という仕事とは何か」という具体的なこと、「編集と価値」という、僕が最も重要だと思っている話をしたいと思います。 


 まず、「編集という仕事とは何か」について話したいと思います。この図を見てみてください。

僕編p51図

「アーティスト」「アートワーク」「鑑賞者」という三つのポジションがあります。小説家、写真家、音楽家などは表現者。

本とかウェブなどは、「アートワーク」だと考えてよいでしょう。読者やオーディエンスは鑑賞者ですね。 


 そうすると、「編集者」というのは、どこのポジションでしょうか?それは、この三つをそれぞれつないだり、ナビゲートしたり、評価を与えたり、仲介していく役割で、この三角形の真ん中にポジションされて作用していくものだと思うんですね。 

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