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変容の庭。名和晃平の『Metamorphosis Garden』が始まる/一日一微発見205

プロジェクトの発端は、2020年の頭で、まだコロナ前のことだった。
日本を代表する商業施設、GINZA SIXから、中央の「吹き抜け空間」にアート作品の提案をしてくれないか、という依頼があった。

しかし一方で、2020年1月末にはコロナの波が、瞬く間に世界に広がっていき、「これは大変なことになる」「オリンピックどころではなくなる」とすぐに思った。東京を包んでいた、過剰なお祭り騒ぎの気分は吹き飛ばされてしまった。

世の中は日増しに混沌としていった。
僕はすぐにこのプロジェクトには、彫刻家/アーティストの名和晃平しかいないと思い、真っ先に彼と連絡をとった。

なぜ、名和晃平なのか? それは、彼がアートを生成する上で持つ独特の「メタモルフォーゼ」についての思考と方法論を持っていることによる。
それは従来のアートの限界を超える力を持っていると思うからである。

僕は2019年に彼の第2作品集である『Metamorphosis』の企画・編集にかかわったが、それは単なる作品集ではなかった。
彼の制作における「メタモルフォーゼのマトリックスmatrix」を提出できた点が重要だった。

普通の考えならば、彫刻などの立体作品は、美術作品ととして提出されたもので充分だ。しかし、名和晃平の考え方は、随分異なる。

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