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マリオ・ジャコメッリ 『Cose Mai Viste』/目は旅をする011(天国と地獄)

マリオ・ジャコメッリ『Cose Mai Viste』Photology FU刊

旅の途上で本と出会うのは何よりも楽しい。

偶然立ち寄ったボローニャの Artelibroの会場で、一冊の本が僕の心を捉える。それは、2000年に亡くなったイタリアの写真家、マリオ・ジャコッメリの小ぶりな、しかし400 ページ近くもある写真集だった。

画家のエンツォ・クッキが編集・構成していた。

ジャコメリのトレードマークとも言うべき神学生たちが表紙。日だまりで彼らはバレーボールをして遊ぶ。ページを繰ると、ザラザラした 肌触りのモノクロ写真が、ただひたすら続く。

崩れた壁、ホスピス、画家バスタリ、草と女たちの顔、 街、木々。

風景はいくつも重なりあい、ある日、ある場所で起こっ たことが、思い出せそうで思い出せない記憶や、ふっと忘れた夢のように、現れて消える。

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