反復して考えることのすすめ/一日一微発見198
前回、デザイナーの仲條正義さんの
ことについて書いたが、今回もその続きから始めたい。
仲條さんは87才になった。「日本人の生涯は百才)」という時代になったし、ご本人もびっくりするぐらいお元気だから「晩年」という言葉は今や死語なのだと痛感する。
仲條さんの文章に、「本は昔読んだものを読み返し、最新の雑誌を読む」とあった。
昔読んだ本を読み直すこと。
僕は仲條さんより20才若いが、僕も最近、昔読んだ本をアマゾンで探し出して読むことが増えてきた。
正確には昔読んだ人の「その本」と「+ α別の本」なのだが。
例えば最近だと小説家・森敦の本『意味の変容』をアマゾンで買って読んだ。
このうすい、小さな本は当時、柄谷行人や浅田彰が絶賛した本で、読んだような読んでないようなあやふやな記憶の本だった。
コロナの時期になって、一番ありがたいのは、読みたい本をネットで買って数日内に手に入り、没入することができることだ。
『意味の変容』はすごい本である。森敦は、僕が『独特老人』の連載を雑誌で始めたときに、一番最初にインタビューに行った人である(浅田さんにつないでもらった。インタビューのときには、飯田橋の森さんの家に一緒に行ったのを覚えている)。
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