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アルファツイッタラーの現代ムスリム解析 - 『イスラム2.0』

「イスラム2.0」
(※この日記ではイスラムとムスリムの表記のブレが大変なことになっているけどめんどくさいから特に修正しない。)

アルファツイッタラー飯山陽氏のイスラム分析の新書
アルファツイッタラーのイメージが強くて書籍は敬遠してたけど、普通に面白かった。
これまで自分が読んできたイスラム本的なものは、ムスリムの信奉者か擁護者の書き手によるものが多かったが、彼女は批判・警鐘のポジションである。

(冷戦終結グローバル化→)インターネット→スマホSNS時代に、これまでの1000年とは全く異なる変化を見せるイスラム社会をイスラム2.0と定義。まず意識調査などのデータを引用して市民の意識変容の流れを見える化する。

イスラム教がスマホSNSの登場によって既存エリートである聖職者の解釈を間にはさまずに初めて大衆に直接聖典が開かれ、解釈できるようになったのがこの10, 15年。
そもそも、変更不可能な聖典を重視する「テキスト」の宗教であるイスラム教はインターネットがもたらしたハイパーリンクと相性が良い。

実際に自分が2012年初頭にイスタンブルを旅行した時から、イスタンブルをめぐる様相もトルコの社会政治状況も10年で様変わりしてしまった。

巻末の事件リストを見ても2010年代後半のジハード(西洋近代社会から見るとテロ)はyoutuberが首謀者であったり、SNSで情報を得て自分なりのイスラム理解を固めてジハードをされた方が多い。自分が勝間和代氏のyoutubeにハマるノリで、特定のyoutuber説教師の動画を大量に浴び、ファンダメンタルなイスラム理解をキャッチアップする大衆が多くなっている。(概要欄に聖典へのリンクもあるのだろう)

SNSから世界に対する新しい見方を得て、既存エリートへの不信感を持っていく流れは、同時期のトランプ現象(オルトライト、Qアノンetc..)とも対をなしていて興味深い。

西洋近代の自由平等の民は、その自由平等とトレードオフ?に婚姻数や出生数を減らしている。一方、ムスリムは神の教えに従い、着実に信徒の人口を増加させていて、2100年には世界人口の過半数がムスリムと予測されている。(長期の人口動態予想は大抵正しい)
ファンダメンタルなイスラムの解釈では、西洋近代の自由平等友愛やポリティカル・コレクトネスとは正面衝突する。啓典に正しく向き合えば、ムスリムと異教徒を明確に分け差別することになるし、西洋近代のPCはそれを認めない。資本主義ともコンフリクトするだろう。

テクノロジーの進歩で一般ムスリムの間でファンダメンタルなムスリム解釈が急拡大している中、ムスリムが地球人口の過半数となる2100年代にむけて自分たちの下の世代がどういう世界を生きていくことになるのかとても興味深い。

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