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東大卒「上級国民」が堕ちたギャンブルの罠 - 『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』

「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」
 アニメ『グレートプリテンダー』やドラマ『コンフィデンスマン』でおそらく参照されているであろうマリーナベイサンズ等のVIPルームでの、強迫的ギャンブル依存によって快楽に流されるまま堕ちていくくだりももちろん楽しいが、上場企業創業家(今でも日本の上場企業の50%は「同族企業」だ。)という本当の「上級国民」の華麗なる交友やライフスタイルに関する記述も結構楽しかった。
 井川さんはギャンブル依存症で会社の金を100億単位で使い込むクソバカではあるけども、同時に優秀なビジネスマンでもあって(機会平等な筆記試験による入試がある東京大学に合格しているので、金持ちのデキの悪いボンボンなどではなく、一定期間自分を律して成果を上げることのできるタイプの人間である。)、本書の筆致からもその二面性が伺えるのがエモエモのエモで萌えだった。
 最近は「生活費を極限まで抑え、FIREを目指そう」的な書籍や動画を多く摂取していたので、先に読んだウィンクルボス兄弟物語と合わせて、「上級国民本」と「清貧本」を自分の中で対衝突させ、エンターテイメントとして楽しむことができ妙味だった。

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