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「次の質問で頭がいっぱい」状態を解消する方法

ライターを始めたばかりの頃、「自分は聞き方に大いに問題があるのではないか……」と思っていました。

それは、質問をして相手が話し出した途端、「次の質問どうしよう」と考え始めてしまって、相手の話を全然聞けていなかったからです。

「話を聞きに来ているのに、聞けていないなんて、絶対間違ってる…」

なんとかしたいと思って参加した「インタビューのワークショップ」で運よく突破口を見つけることができ、学んだことを自分の中で育て続けていった結果、今ではそうした悩みはなくなりました。

相手の話をしっかり聞きつつ、質問もピンポイントで挟みながらインタビューを進めていけるようになったと思います。

きっと同じような状態で悩んでいる方も多いと思うので、私が解決できた方法をシェアします。

基本的にやっていることは以前書いたこちらの記事と同じなのですが、

今回は「質問」の角度からお伝えしたいと思います。

1.事実よりも感情に注目する

ビジネスで話を聞くときは、基本的には相手の話の「事実」に注目するものだと思います。論理的に変なことを言っていないかとか、議論にヌケモレがないかとか、頭を働かせながら聞きますよね。

私はライターになる前は普通に会社員だったので、ライターになってからもしばらくはこのやり方で話を聞いてしまっていました。

でも、事実をどれだけ満遍なく聞いたところで、それってアンケートでも聞けることなんですよね。

しかも、論理思考ばかりを働かせていると、聞き手と話し手のやり取りが短く細かくなりがちなので、結構疲れます。近い距離でキャッチボールを続けるような感じ。それでは、「次の球どう投げようかな」と考える暇もなく焦るのは当たり前です。

まずは相手の発言のどこに感情が込められているか、それを見つけることに集中します。

2.質問よりも感想を伝える

相手の感情がたっぷり乗った言葉を見つけたら、すかさず反応します。

「〜と思っていたんですね」とか「〜という感じだったんですね」というような、相手の感情を確認するような反応をしたり、「〜と思いました」というような、自分の感想を一人称で伝えるのもいいと思います。

「そんなふにゃっとした言葉を返したら、相手は戸惑うんじゃ……」

と思う方もいると思うのですが、そんなことはないです。

ちゃんとツボを抑えた反応ができれば、質問せずとも背景にある思いをさらに深掘りしてくれますし、「私」を主語にした感想を伝えることによって、相手との関係性を深めることもできます。

そもそも質問とは、絵本『北風と太陽』でいうと、無理やり強風でコートを剥がそうとする「北風」のようなものです。下手をすると暴力と受け止められかねません。

ときには北風を吹かせてメリハリをつけることもあります。あえて論理思考にふって、考えてもらう質問をすることもあります。

でも、せっかく大切な経験や思いを語ってもらう機会なのですから、基本的には「太陽」スタイルで、相手の話したいことを語ってもらいたいと思っています。そのほうが、圧倒的に良い言葉を語ってくれます。

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.……え、それで聞きたいこと聞けるの?

と思いますよね。私も最初は

取材なんだから最低限確認したいことはあるし、相手に語り放題語ってもらうのってあまりにリスク高くない?

と思いました。正直、すぐにはできません。でも訓練すればできるようになります。

私のイメージでは、論理思考は常にバックグラウンドで動いていて、感情を検知する機能は意識して働かせている感じです。

「感情」中心で聞くけれども、「事実」にヌケモレや論理の飛躍があれば、相手の「感情」を邪魔しないように確認します。

今まで「事実」に注目して話を聞いてきた人が、はじめて「感情」に注目して聞こうとすると、論理思考はほぼフリーズします。するとそれは、インタビューではなくカウンセリングになってしまいます。

でも、それで「やっぱりちゃんと聞けないじゃん」と諦めるのではなく、粘り強くトライしてみてほしいんです。

私は子どもの頃から、特に人の話をよく聞くタイプだった訳ではありません。どちらかというと共感性の乏しいほうだったと思います。

ところが今はプライベートでの話の聞き方もだいぶ変わり、相手が以前よりも深い話をしてくれるようになったと感じます。話を聞いて私が涙を流すこともあります。

人の気持ちに寄り添いながら話すことは、想像以上に人を癒します。癒された人は、豊かな言葉を放ちます。生まれながらに寄り添った聞き方ができる人もいれば、できない人もいる。でもそれは、後天的に身につけられる能力です。

ライターの仕事は原稿を収めることですが、できれば原稿を受け取る瞬間だけでなく、インタビュー中も「話してよかったな」と価値を感じてもらえる時間を過ごしてもらいたいと思っています。



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