フェイクスピア観劇後


喉を通らなかったシンノコトノハは
言葉としては産まれて来ずに
活断層へと降りてゆく
鼓膜を震わせなかったシンノコトノハは
こだまとしては認められずに
二酸化炭素と消えてゆく


(私の場合)
大地震に揺れたあの日の池袋駅改札内
乗り換えできずに閉じ込められた私のナニカは
層を生してプレートと為った
羊水を吐き出したあの日から吸い続けている空気の中
0.04%避けることのできないナニカは
誰かの肺から運ばれた悲しみの味がした


地面と空に繋がれて
人は夢を見るアホウだ
どこから夢で
どこからが世界かなんて
線を引くことはできなくても
コトバを繋いで
世界は繋がれてきた


言葉の力だけを使ったために
言葉を無くした有象無象が
今日もプレートの上を歩いていく
言葉の形だけをなぞったために
歴史を忘れた週刊誌(もしくはカレンダー)が
今日も世界を呼吸している


それでもきっと、
私の心根が週刊誌の後ろの方の
怪しげな広告ページまで全部燃やして
有象無象を抜けて、
流れる雲にすすがれた枝を
空に伸ばしたその末に
やっとつける小さな濃緑の葉を
あの日の君。
あの日の君の肉体が感知する時、
つかの間の再会に私たちは
人生の役を果たすんだ


そんな夢。
そんな夢を
池袋の改札の外で
立ちながら見てきたんだよ、
この前の水曜日に。
脚が痛かった。

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昨日はじめて野田秀樹さん演出舞台を観れまして、
その感想というわけではないけれど、私の乏しい体でわずかながら感じ取ったことを詩にしてみました。
生のお芝居もっと観たい。

一日でも早くコロナが収まりますように。

サポート頂けましたら、部屋を飾るお花を買って、その花を詩にしてお返しします🌷✨よろしくお願いします☺️