冬のオーブン
運命の果実は野生なので
美味しいことなんて滅多にない
エグかったり
酸っぱかったり
渋かったり
そうでない事なんて途轍もなく稀だ
だから人は
アップルパイを作る
傷んだ箇所だけ削いで
砂糖とバターで炒める
ラム酒とシナモン香和せて
ちょっと煮るのね
重ねて潰して、重ねて潰して
そうやってつくったパイ生地に包み
フォークで模様をつけて
溶き卵でトリートメント施せば
さあ
いよいよオーブンで
運命を変容させるのだ
さっき話したような
甘い果実を得た稀な人は
丸かじり果汁をしゃぶれても
この魔法の楽しさを知ることはない
もちろん、逆も然りだね
!
ベルの音
芳ばしく枯れたパイ
その中に涙と恋を焦がした
琥珀色の運命
!
ベルの音
やあ、君か、よく来たね。
アイスクリーム買ってきたよ、
アップルパイに添えようと思って。
ベルの音
…
夕方の鐘だ、
もう宵だ、
ゆっくりしよう、
紅茶を淹れようか、
そうしよう
運命の果実は野生なので
美味しいことなんて滅多にない
だから人はアップルパイを食べる
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こんばんは、元気かい?
昨日の詩でアップルパイのこと書いたら
アップルパイの詩を書きたくなって🍎
サポート頂けましたら、部屋を飾るお花を買って、その花を詩にしてお返しします🌷✨よろしくお願いします☺️