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『世界は贈与でできている』読書感想文ー子どもからもらったもの


「世界は贈与でできている 資本主義社会の『すきま』を埋める倫理学」(著:近内悠太)は、岸田奈美さんの読書感想文コンテスト(キナリ読書フェス)で課題図書になっていた書籍です。



キナリ読書フェスという面白い企画があったことを、私はフェス終了後に知ったので参加できなかったのですが(もったいない…)、本書の読書感想文で大賞を獲った方が「子育てしている人に読んで欲しい」と書かれていたので、読んでみました。


いつもは何も持たないのですが、シャーペンを片手に。もちろん、キナリ読書フェスに参加してるという設定です。「読書感想文を書くために、ちゃんと読まなきゃ!」と意気込んたため、線を引きすぎて、どこが重要か分からなくなりました。


何度も戻って読み返し、それでも分からないところもありました。飛ばして読んで、後で納得することも。
とりあえず、一旦すべて読んでしまうことをおすすめします。


線を引きながら一読した感想(とメモ)


本書の構成は9章です。1~4章は「贈与」について、5章からは「贈与論」=「コミュニケーション論(言語ゲーム)」として話が展開し、8章の終わりで再び「贈与」に話が戻ります。


一読後の感想は、「今どきの哲学書(経済学書)!」。言葉が優しく、普段あまりかたい文章を読まない私でも読みやすかったです。


今(現代)を丁寧に分析し、生きにくさの理由を明らかにしてくれているので、処世術の書だとも思いました。子どもにも読ませたい(まだ1歳だけど)。


以下は私の読書メモです。


・「贈与」=見返りを求めない行為


・「贈与」は「返礼」から始まる


・「贈与」を受けた相手が「返礼の義務」を感じたとき、それは見返りを求める「交換」となる


・私たちは「贈与」に囲まれて生きている



・「贈与」とは存在を主張しないものであり、受け取る人自らが主体的に気付かなければいけない



・「贈与」とは不合理なものであり、それゆえに、受取人に「受け取ってしまった」という「負い目(うしろめたさ)」を与える



・「交換」を基盤とする資本主義経済(=私たちの住む世界)のなかで、「贈与」は「すきま」に存在する



・「交換」と「贈与」を混ぜ合わせることで、私たちは新しい社会(人間関係)を作れる


・「贈与」には、まずはじめに宛先が必要であり、だからこそ、宛先を持てる人は幸せである


子育てには最後が特に大切だと思います。


子育てにおける「贈与」


子育てにおける「贈与」について、本書では何度も触れられています。言葉は違いますが、私の理解はこんな感じ。


・親が子どもを愛し、育てる=「贈与」


・親が子どもを「愛を持って」育て「られる」のは、親が自分の親(保護者)に対し負い目を感じているから


・負い目=「私は不完全であるにも関わらず、(過去、自分の親・保護者から)不当に愛されてしまった」


・親が自分の苦労を子どもに見せてはいけない理由は、子どもが返すことのできない「返礼の義務」に苛まれることを避けるため


・親は子どもから「生命力」をもらう(「生命力」は「返礼」ではない)


最後のメモの内容に関して、私は正直ピンと来なかったのですが(「生命力」って何だろう?人生の張りみたいなものかな?)、子どもから何をもらうかより、贈与の関係を結べたことが大切なのだろうと思います。


なぜなら、贈与の宛先(子ども)が存在するだけで、贈与の差出人(親)は幸せだからです。


これを知っているだけで、ものすごく生きるのが楽になる(自分の人生を肯定できる)なと思いました。



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