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youtubeではなく本を開く


暇なとき、ついついSNSを開いてしまう。Xのおすすめタブ、インスタグラムのストーリー、youtubeのショート動画…見れるものは尽きない。次から次へと情報が飛び込んできて、関連ワードを調べたりしていると、すぐ寝る時間が来てしまう。

そうして夜の時間を過ごしていたけど、疲れたときは余りに多い情報が、より私を疲れさせる。見る気をなくして、スマホを放り投げる。


そういう疲れたとき、何も見る気が起きないとき、悲しいニュースが普段より心をざわつかせるようなとき、私は活字の本を読む。それも、穏やかに読めるような本だ。殺人事件を追うミステリーや、複雑な家庭環境を描いたものは、ずっしりと肩に重くのしかかって、尾を引いてしまうから読まない。



最近読んだ穏やかに読める本を、いくつか書いておこうかな。
誰かの参考になれたらうれしい。全部知ってるよ!と思われるかもしれないけど、読んでみてほしい。


☕☕

◯和菓子のアン

 進路が決まらず、かといって顔が知れた地元の商店街での就職も、無職も、どちらも気が進まなかった主人公が、デパ地下の和菓子屋さんでアルバイトを始めることから進むストーリー。主人公の通称アンちゃんは、ふっくらした体型で、異性にからかわれたことから、男性恐怖症になっていて、特にイケメン容姿の人が苦手(すぐからかってくるから)。
このふっくらした体型で、からかわれるから異性が苦手、といった部分、私も同じだったのですごく分かるな〜と共感したのと、和菓子屋さんを舞台にしたところが、あんこ大好き人間として見逃せなかった。私は結局食いしん坊だ。
 文章が柔らかく、題材として扱われる和菓子は知らないものも多くて、すごく興味がそそられる。アンちゃんが、苦手な異性相手の接客にも負けず、少しずつ上手になっていく様子を見ていると、私も負けちゃだめだなあと思う。
 でもこの小説、和菓子屋さんに行って色々買ってみたくなるので注意。私は3回は行った。


◯ライオンのおやつ

 余命宣告を受けた女性が、瀬戸内の海が見えるホスピスで余生を過ごすお話。ホスピスでは毎日午後3時におやつが出てくる。そのおやつは、入居者が希望した「人生最後に食べたいおやつ」。出てくるおやつは誰が希望したものなのか、その理由は何なのかが描かれるのと併せて、主人公の余命が少しずつ少なくなっていく様子が描かれて、切なくなって、何度も泣いた。
 主人公目線で書かれている小説の中で、主人公の体力がどんどんなくなっていくことがすごく伝わる文章だった。ただ1人の女性の命が終わろうとしていることが、どうにも悲しくなった。 
 それは心穏やかに読める小説なのかと聞かれると、終始穏やかにとはいかないのかもしれない。でも、文章の雰囲気が優しい。とても優しい。優しくて暖かいお日さまに包まれてるような文章で、すごく好きだ。それと、延々と泣いてしまうから、読んだ後はスッキリして穏やかに過ごせる。なので、心穏やかに読めるとみなすことにした。
 お話の中で、気難しいお爺さんが出てくるけど、このお爺さんがもう一度食べたいと希望したおやつのエピソードが好きです。素直になればよかったのにね、おじいちゃん。


◯本日は、お日柄もよく

 このお話を読むとなにか文章を書きたくなる。適当なものでよくて、なにか言葉の持つ力に関わりたくなる。
 幼馴染の結婚式で聞いたスピーチに感動し、OLがそのスピーチライターに弟子入り。選挙演説のスピーチを任されることになり、紆余曲折しながらも頑張るお話(ざっくり)
 著者・原田マハさんの本を何冊か読んだことがあり、たまたま読書メーターで見かけたことがきっかけで、読み始めたこの本。めちゃくちゃいい。
 原田マハさんの文章は読みやすくて、登場人物の心情が分かりやすい上に後半にかけての盛り上がりとテンポのよさに引き込まれる。会社の昼休みに、通勤の途中に、隙間時間を見つけては本を開き、世界に飛び込んだ。
 そもそもスピーチライターって職業があることも知らなかったし、言葉の選び方、紡ぎ方で、こんなにも人に与える印象が違うんだと思うと、わくわくした。ぜひ読んでほしい一冊。




☕☕


今年はどんな本を読むかわからないけど、この三冊はリピートしても読みたい。鬱屈した気分にならないから、寝る前の読書にもいいかもしれない。あたたかいお茶を飲みながら、落ち着く曲をかけながら、本を読みたい。たまには、youtubeを閉じて。



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