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あまり平均化訓練に関係ない話

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平均化訓練に関係ない話をまとめておく場所です。
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#読書感想文

僕もワルグチがいいたいー鈴木涼美「ニッポンのおじさん」

僕もワルグチがいいたいー鈴木涼美「ニッポンのおじさん」

妙な人生を生きたせいで鋭い批評眼を手に入れたなんて人達はしばしばいるけれど、鈴木涼美の場合のそれはもとからなんじゃないかと思うことがある。
事情がありそうせざるを得なかったというよりむしろ好き好んで妙な場所に足を運んでしまったように見える。
もちろん時代の波は問答無用でその時を生きるすべての人に襲いかかるものだし、それに飲まれて訓練された成果があるのも間違いないが。
縛られてかつ自由で、とにかく清

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ルックバックに出てくる3人の○○についての覚え書きと空想

ルックバックに出てくる3人の○○についての覚え書きと空想

この投稿は前回の投稿の追記であり、「ルックバック」の物語における核心部分について言及します。
作品を読まれていない方はぜひ一読してから先に進んでいただきたいと思います。

前回の投稿はこちら

本題

この記事は「ルックバック」の劇中に出てくる3人の犯人についての覚え書きと空想です。
この作品の中には京本を襲う犯人が3人出てきます。
同一人物のように見せかけつつ全員別物なのではないだろうかと考えて

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狂人の鎖を解くにはー春日武彦「あなたの隣の精神疾患」

狂人の鎖を解くにはー春日武彦「あなたの隣の精神疾患」

春日武彦の著書において一貫しているテーマがひとつある。
それは精神医療についての誤解を解くことだ。

その割には文体が斜に構えすぎてはいないかと思われるかもしれない。
しかしそうでないと解けない誤解があるということは、著書を読んでみればよく理解できる。
特にこの「あなたの隣の精神疾患」はまさにその誤解を解くために書かれた一冊だ。

この本では、精神疾患についての正しい「病気らしさ」を把握し、リアル

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知らない誰かの見る夢ー無意味とスカシカシパン

知らない誰かの見る夢ー無意味とスカシカシパン

例えば知らない誰かが見る夢の内容のような、およそ自分の人生には関わりの無いもの。
本書はそう言った無意味さに対する関心、あるいは思い入れについての本だ。

春日武彦氏の本は単純に好きで読んでいる。
本を読むときはマンガでも何でも、自分に向けてなのか、周囲の目を気にしてか、きっとその両方だろうけど、なぜその本を手にしたのか理由を説明しがちだ。
今では情報収集であったり勉強の為だったり、そう言った理由

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