2022年5月の記事一覧
『女のいない男たち』書評 ジェンダーを超越する珠玉の恋愛小説を描く作家・村上春樹
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繊細な脚本と演技で、原作を補完した作品 映画『ドライブ・マイ・カー』評
村上春樹と宇多田ヒカル
村上春樹というと、毎年ノーベル賞候補に挙げられるほどの地位を築いた作家であると同時に、アンチも多い。言われがちなのは、「男に都合がいい」「気取った文体」「性描写がつらい」などの意見だろうか。
今回、映画『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー脚本賞を取ったことを機に、原作の『女
繊細な脚本と演技で、原作を補完した作品 映画『ドライブ・マイ・カー』評
*映画『ドライブ・マイ・カー』評。ネタバレあり。約2400文字。5分割ごとに印をつけています。
(1/5)
私は、原作『女のいない男たち』を読んでから、映画を鑑賞した。この批評文はそれを踏まえて書かれたものだ。
原作『女のいない男たち』は短編の連作集である。基本はどれも恋愛小説だ。そして、そこにおける一番のテーマは『喪失』である。
しかし、映画は原作とは、その軸足を変えている。
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