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#月刊撚り糸 5月のテーマ『夜分遅くにすみません』公開しました。



毎月7日にテーマに沿った小説を公開します。また同テーマにて創作を募集し、一緒に楽しめたらと思っています。
5月のテーマは『夜分遅くにすみません』です。


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全投稿作品を載せています。
Twitterにて書かせていただいた帯とともにどうぞ。


1、海風の届く住処で/ショートショート#月刊撚り糸

”後輩”が”男の人”に変わる瞬間、なにかが動き出す予感のそばを海風が通り抜ける。恋一歩手前のくすぐったさは、きっとふたりを支えてくれるんだろうな。


2、夜中の電話(父の血) #月刊撚り糸

子どもの頃は嫌だった親のお節介が美しく感じられる日の訪れ。
優しさがつながっていく瞬間が温かく夜を包む。


3、夜分遅くにすみません #月刊撚り糸

毎日誰かしらの誕生日があるように、いつが記念すべき日になるかなんてわからない。とはいえ5/7で粉の日とは、面白い。


4、真夜中の苦い誘惑 #月刊撚り糸  (2021.5.7)

お隣さんにだけ許された秘密が、結ばれてはいけないふたりを誘惑する。
動き出した気持ちが絡み合って、またしても次回が待ちきれない。

※百瀬七海さんの作品は連作になっています。下記マガジンからぜひご覧ください。


5、【小説】雨の日、白の行進。#月刊撚り糸

"禁止されたわけでもないのに発言を許可された気持ちになって、できるだけ甘えた声で「わたしのことは?」と尋ねた。"
好きな人といることは幸せで幸せで、心が鈍麻してしまう。
自分に許可を出すのは自分だけなのに。


6月のテーマ告知


それでは来月のテーマ告知。

6月のテーマは『花を買って帰ろう』です。

一緒に楽しめたら嬉しいです。

ご興味のある方はコメント欄、Twitterにてリプ・DMなどで教えて下さい*


書かれなかったあとがき


当たり前のことばかり並べていると、自分の中身まで「当たり前」になってしまいそうで怖い。

ここでいう「当たり前」というのは、いわゆる世間一般的な常識だったり通説だったり、もしくは自分の中で固定化されて手癖のついた考え方のことだ。

この条件反射的な思考は、日常生活においてはとても便利なんだけど(だって朝ごはんは何時に食べるべきか、とか、赤信号は渡ってもいいかどうか、とか、毎日考え直してたら疲れてちゃう)、

ものを作ろうとしたときには存外、邪魔というか、やたらとわたしを押し流そうとしてくるから困っている。

たとえば男女が一夜を共にしたとき、そこで何が起こったかはお察しの通り…みたいな展開をよく見かける。大抵の読者は、ふむ、そういうことね、と頭の中で登場人物たちの一夜を補完できるだろう。それ自体は決して悪いことではないし、そこが面白さにもなりえる。

しかし、毎回その展開が続けばさすがに飽きる。これは王道展開に限らず、マイナーな展開に置き換えたとしても、連続すればさすがに食指も動かなくなるものではないだろうか。

人はある程度目新しさを求める生き物なのかもわからないけれど、少なくともわたしには「ちょっと飽きたなぁ」と思って文章を読むことがある。

そして「ちょっと飽きたなぁ」と思って書くこともある。

好きでやっているくせに、と自分自身思うけれど、やっぱり自分の書いた文章に「なんかマンネリじゃないか」と感じてしまうことが多々ある。同じような展開、同じような設定、同じようなキャラクターに飽きるのは、どうやら読者だけに限らないらしい。

それならそれで「同じ展開に飽きたなら、新しい展開を導入すればいいじゃない」と思うんだけど、書いている最中は気持ちが高ぶっていて気づかなかったりする。それが読み返してみてはじめて「なんかこれ前にもやったな?」と絶望するわけである。

だから、わたしたちは考え続けなければいけないのかもしれない。きれいに舗装された道路から一歩はみ出すために、手入れされた芝生の広場からハルジオンが揺れる森の中へ迷い込むために。

同じような展開、同じような設定、同じようなキャラクターから脱するためには、たぶん、自分の慣れ親しんだ思考の間をかいくぐり、知らない場所へたどり着く必要がある。それは案外力技でできることではなくて、考えて、考えて、考えてみた先にようやくぼんやり顔を出すのかもしれない。

毎日同じことを繰り返していたってわたしの人生にはなんら問題がない。でも自分で自分に飽きてしまうのは少しさびしいから、当たり前を外れるためのパワーを貯めている。



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