2023-2024まとめ(寄稿した文章・参加したコンピなど)
こんばんは、威子です。
約1年オリジナル楽曲の投稿がストップしていますが、そのような中でも書いたものや制作したものがありますので、ここにまとめておきたいと思います。
書いたもの(文章)
ボカロマゾ vol.1『痛み、快楽、存在論』(2023.05)
早稲田大学ボカロマゾ研究会(https://x.com/w_vocaloidmaso)の会誌です。文学フリマやボーマス、BOOTHでお手に取ってくださった皆様、ありがとうございます。
ボカロマゾvol.1『痛み、快楽、存在論』特装版 - 早稲田大学ボカロマゾ研究会 - BOOTH
「ボカロマゾ」については、主催のsen氏が書いた以下のnoteをお読みいただければと思います。
「ボカロマゾ」とは何か、あるいは「うちのミクさん」を巡るその存在論について|早稲田大学ボカロマゾ研究会 (note.com)
僕は、「空想とボーカロイド―信仰と思慕、そして像―」という文章を書きました。ボーカロイドを、ボーカロイドで、ボーカロイドと空想することについて、フッサールの像意識や、ヴィルヘルム・イェンゼンの小説『グラディーヴァ』にも触れながら、ボーカロイドのファン・リスナー・ボカロPの立場から書きました。おまけ的に、プロセカの話をしています。プロセカについては、僕がプロセカを受け入れる過程(当初はボーカロイドがキャラクターとして確立することを容易に受け入れられませんでした)について書いています。
僕の文章はさておき、論考、エッセイ、小説、そして7名のクリエイターによる楽曲、いずれも好きな作品ばかりですので、是非手に取っていただければ幸いです。
また、会誌には、通常版はsoundcloud版のコンピレーションアルバム、特装版はCDが付属しています。心華ちゃんのオリジナル楽曲、「空想と夢路」を書き下ろしました。
こちらの楽曲には、みとう。さん(https://x.com/mitou119)にアニメーションを付けていただきました。みとう。さんは、研究会が出来た時にボカロマゾに興味を持ってくださっており、会誌の表紙イラストも描いていただきました。「ボカロマゾ」をみとう。さんの独自の世界観で表現してくださり、文フリやボーマスでは、みとう。さんの表紙に惹かれ、手に取ってくださる方も多くおられました。直接お渡しして、たくさんお礼も申し上げたかったのですが、叶わず、献本とお送りしたお手紙は、どこかで見てくださっていたら良いなと思っています。本当に、ありがとう。
もえけん!!(2023.11)
萌研究会(https://x.com/oumoe0)の同人誌に寄稿させていただきました。もう表紙から萌えですね。萌えアニメ・ツンデレ特集ということで、「ツンデレ系ヒロインの多様化が印象形成に与える影響-ツンデレ系ヒロインにおけるデレ発症をエンドポイントとした生存時間分析-」を書きました。
もえけん!! - 萌研 - BOOTH
何の話をしているかというと、第1章では、僕がツンデレ系ヒロインを好きになるまでの過程を振り返りながら、ツンデレ系ヒロインの印象形成、言語表現、そして時代とともに多様化してきたキャラクター性について考察しています。そして、ツンデレ理解には艦これが最適という結論に至りました。艦これをよろしくお願いいたします。
第2章では、第1章で述べたツンデレ系ヒロインの印象形成の話を検証するために、(何故か)生存時間解析、time-to-event analysisをやっています。ヒロインがどのタイミングでデレるのか、という生存曲線を描いてます。アンケートご協力いただいた皆様や、アニメ視聴バイト君達にデータ収集にご協力いただき、面白いデータが取れましたのでこちらも是非……
もともと僕は、ツンデレ系ヒロインはどちらかというと苦手というかあまり好きにはならなかったのですが、最近は50%くらいの確率で好きになることがあります。理由のひとつに、先に述べたツンデレ系ヒロインのキャラクター性が多様化したということがあると思います。あくまで「要素」としてのツンデレを楽しむことができるようになってきているんじゃないかと思います。
また、これは本誌では全く触れてないのですが、僕自身は「恋愛に限局したツンデレ」にあまり惹かれないのかも…と最近思い始めました。柊かがみさん、橘美花莉さん、黒見セリカさん…恋愛をしているしていないに関係なく、(本人と親しい人なら)万人に対してツンデレしてくれます。あと中村ゆりさんの最後のツンデレは最高でした。きっと僕と親しくなったら彼女らは同様に等しくツンデレしてくれます。他には、最終的に主人公と結ばれるヒロインがツンデレだった場合に、特にそのヒロインを好きになったことがないように思います。主人公は、ヒロインのツンデレに対して、初めは好意だということに気づいておらず、しかしその間我々はヒロインの気持ちに気づいているわけで、なのに最終的に主人公と結ばれたら、もう僕が負けですよね…。勝ち確定したからといってヒロインを好きではなくなることは決してないので(思えば好きになったヒロインが勝った記憶はありませんが…)、因果的には、「好きになったツンデレ系ヒロインが負ける」或いは、「負ける傾向のあるツンデレ系ヒロインを好きになる」だと思いますが。そして純粋に、ツンデレの程度の問題というのも否めません…。今後も検討していきたいと思います。
青春ヘラver.9「ファム・ファタールと〈ヒロイン〉の系譜」(2024.05)
大阪大学感傷マゾ研究会(https://x.com/kansyomazo)の会誌に寄稿させていただきました。「こんな可愛いファム・ファタールが女の子のはずがない」という文章を書きました。
青春ヘラver.9「ファム・ファタールと〈ヒロイン〉の系譜」 - kansyomazo - BOOTH
青春ヘラver.9「ファム・ファタールと〈ヒロイン〉の系譜」内容紹介|ペシミ (note.com)
他人の運命を狂わせてしまった——ファム・ファタールとなった女装男子が登場する三作品のレビューを通して、日本における異性装の文化の歴史を振り返りながら男の娘、女装男子の魅力を「可愛さ」の視点で書いています。
レビューした作品は以下の通りです。
・作者不詳『とりかへばや物語』
平安時代に成立した物語。ジェンダーに悩む若者と、その親の心情が鮮明に描かれており、男の娘概念の先駆けとなるような作品です。
・遠藤海成『まりあ†ほりっく』
今回は主に漫画を軸に紹介しており、アニメでは語られなかった衹堂兄妹のアイデンティティ確立と異性装、そして異性装がもつ儚さについて述べました。『とりかへばや物語』との類似点も多く、中でも「女装した男性」が「女性」を魅了し運命を狂わせる点について取り上げています。
・とおる『女装してめんどくさい事になってるネクラとヤンキーの両片想い』
三作品の中で最も男の娘の解像度が高く、男の娘の実在性、虚構性がバランスよく描かれています。二次元的な「萌え要素」に縛られず、現代を生きる男の娘、女装男子の姿、女装を続ける中での心情の変化が繊細に描かれている点が魅力的な作品です。現実に男の娘、女装男子として活躍するインフルエンサー(杉本凛氏、ひめにぃ氏)にも触れながら、レビューしています。
僕自身、男の娘、女装男子が「好き」、というよりは、一種の「憧れ」があるのだと思います。女性が可愛くあろうと努力するのと、男性が可愛くあろうと努力するのとでは、女性からすると想像もできないくらいに異なっていると思います。好きなものを好きだと言える強さ、それを自身で表現できるほどの努力、そこから生まれた、女性にはない女性としての魅力が、そこにはあると思います。僕がいくら可愛くあろうと、「可愛い」の本質に触れられるわけでもなく、ただ、「女性」「女の子」というgender、sexが強調されるに過ぎない。本当はそこを見てほしいのではないのだけれど、と。
作ったもの(音楽)
niña presents Girls only compilation album 「しあわせ」(2022.10)
*yuukaさんが主催されているniña(https://x.com/nina_nina2019)presentsのコンピレーションアルバム、「Girls only compilation album」(女子会コンピ:参加者が女子限定(自称女子含む)のコンピ)にお声掛けいただき、参加させていただくこととなりました。無料DL配布のアルバムです。
第4回のアルバムということで、テーマは「しあわせ」。
心華ちゃんに歌ってもらい、「pseudo-unhappiness」という楽曲を書きました。
niña presents Girls only compilation album 「しあわせ」 - niña - BOOTH
ちょうどこの作品の制作に着手しようとしていた頃に、「感傷マゾ」という概念に出会いました。僕は「感傷マゾ」という概念には惹かれるものがありますが、実際に自分がそうかと言われると、そうではないと思います。もし自分がそうだったら、今の自分に納得がいくかもしれないのに、という行き場のない反実仮想、或いは、あの夏に「憧れていたかった」という反事実的な憧憬。それでも僕は、僕自身が、あの夏にいたという事実がありながらも、虚構に手を伸ばして、閉じこもってしまった。事実と反事実の間で生まれた疑似的なunhappinessを、「感傷」として咀嚼すると、少し楽になれるような、そんな気がしませんか?しませんか……。
ここでも少し、触れています。
吾亦紅につけて、|威子 (note.com)
その後、みとう。さんにアニメーションを付けていただきました。無限チャイナ
niña presents Girls only compilation album 「Gokai」(2023.10)
ありがたいことに、女子会コンピ第5回にもお声かけいただき、GUMIちゃんとkokoneちゃんのデュエット「李花の果て」という楽曲を書き下ろしました。第5回ということでテーマは「誤解」。僕は、李の花を選びました。
こちらも無料DLできます。
niña presents Girls only compilation album 「Gokai」 - niña - BOOTH
下記ファンボックスに、猿楽雅さんの全曲レビューが掲載されています。各作品について、今回のテーマである「誤解」を各楽曲から丁寧に汲み取り、女子会コンピということで女性的な感性にも着目して、詳細にレビューをしてくださっています。アルバムと一緒に是非楽しんでいただければと思います。
「Gokai」全曲レビュー【猿楽雅編】|*yuuka|pixivFANBOX
parlare niña(2023.12)
女子会コンピに2回参加させていただき、そのご縁もあってniña Presentsの別のコンピレーションアルバムにもお声掛けいただき、参加させていただきました。心華ちゃんのオリジナル楽曲「月兎の涙に溺れて」を書き下ろしました。「少女の戯れ言」というテーマで、あったかもしれないifを描いてみました。
parlare niña - niña - BOOTH
こちらの楽曲は、動画として投稿予定があるのですが、今ニコニコ動画がこのような状況ですので、復旧を願いながら準備を進めたいと思います。
大好きなイラストレーターさんと、大好きなギタリストさんにお力添えをいただき、こちらのコンピのオリジナル版からさらに深く繊細に表現ができた作品に仕上がっていると思いますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。
こちらもまた猿楽雅さんが全曲レビューしてくださっています。嬉しい。
parlare niña全曲レビュー【猿楽雅編】|*yuuka|pixivFANBOX
Voice's Acter Collection 春号(2024.4)
古書店文月堂さん(主催:藤杜錬さん https://x.com/fujimori_r)の合同誌に参加させていただきました。春をテーマにしたイラスト、漫画、小説、曲…とても充実した豪華な1冊(アルバムCD付き)です。
心華ちゃんのオリジナル楽曲、「春の夜の」を書き下ろしました。舟のように傾いた月が煌々と見えたり、朧に霞んだ満月が見えたりするのが楽しくて、春だな~と思いながら夜道を歩いて曲や歌詞のラフを考えていました。
同時に販売されていたアクリルスダンドも豪華でおすすめです。
Voice's Acter Collection 春号(古書店文月堂)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス (melonbooks.co.jp)
niña Presents 台湾加油(2024.07)
台湾東部沖地震の復興支援に寄付される、全38曲のコンピレーションアルバムに参加させていただきました。
台湾加油 - niña - BOOTH
既存曲OKということで、音源としては配布していなかった心華ちゃんの楽曲、「少女的オーバーフロー算術」という作品(のリマスター)で参加させていただきました。
ボカコレ2022春参加作品なので、2年以上前に制作しています。
動画にはみとう。さんのイラストを使用させていただいているのですが、piaproでこちらのイラストに一目惚れし、どうしてもみとう。さんのイラストで音楽を作りたいという想いで、突然ボカコレに向けて制作を始めました。
イラスト「オーバーフローちゃん」 (piapro.jp)
この頃から、みとう。さんの作品に心動かされ、そしてここまで制作をつづけられているのもまた、みとう。さんのおかげだと思います。
2023-2024年のまとめでした。
2024年はまだありますが、現時点で一区切り、ということにしたいと思います。
同人誌やコンピなどお声かけくださる皆様、いつも作品を読んだり聴いたりしてくださる皆様には、心より感謝申し上げます。