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「母は現役JW。未信者だった父の葬式、こうしました」#5

前回(#4)、「葬儀の見積もりをとった」の話を延々と書きながら、具体的な金額を全然書いてなかったじゃん、せっかく読んでくださる奇特な方の参考にならないじゃん、ってことに気づいたので、最後に追記した。

それともうひとつ書いておきたいのは、いま、父の葬儀をふりかえってみて、すごく大きな影響があったなあと思うのは、
親戚がみんな遠方
コロナ禍だった(「空白の3年」ようやく落ち着く……?な時期だった)
ってことだ。
もともと、遠いところに住んでいるので来づらいであろう親戚の年寄り一同を、コロナ禍もさらなる口実にして一切呼ばずに済んだのは、「JW母が嫌がらない形での葬式を考える上では」という意味では、本当に助かった。
生前の父自身がどう思っていたかはさておくし、繰り返すけれど私は「死後の世界はない」の死生観の人なので「そんな葬式では故人がさびしがるのでは……」とかは考えないことにしているからだが、親戚(特に父のきょうだいたち)が来て直接・間接にあれこれ口出しする事態になったら、こんな私だって一概に無碍にはできないので、かなり頭を悩ませることになっただろう。
人生締めくくりの3年間はコロナ禍で、とくに最後はZoomでの面会しかできないまま亡くなった父の心情を思うとやるせない気持ちにはなるが、こと葬儀が穏やかに事が運んだことについてだけは、コロナ禍だったことは幸いしたのだと思っている。

一般的には、納骨は急がなくていいのだが

以前も書いたが、お墓(納骨)は急がなくてもいい。亡くなってから火葬までは「できるだけ早く!」であたふたと物事が進むけれど、納骨は焦らなくて大丈夫。とくに、亡くなったのが急だった場合などは「お墓はどうしようかなと思って……。もう少し、そばに置いててもいいのかなって思って……」と、人目につかない場所に骨壺を置いているっていうご家庭も珍しくはないと思う。私の友人知人にも、しばらくたってから納骨した人はちらほらいる。

ただ、我が家の場合はお墓も決めておいてしまいたいと、私は思っていた。

理由はもちろん(?)JW母である。
あの人は「骨壺を家に置いておくなんて、キモチ悪い!」と言うに決まっとる!と私は思っていた。そして、後日談になるが、実際そう言った。「赤の他人の骨ならともかく、これってあなたの夫だった人の骨なんだけどな……」と思ったけど。
このあたりは宗教うんぬんではなく夫婦仲の問題だと思うので、知らんがなとは思うのだが、いずれにせよ、火葬したらそのまますぐ納骨できるように整えておくほうが、私自身も無駄に不愉快な思いをせずに済むだろうと思った。

「海洋散骨」もいいなとは思った

葬儀社に事前相談に行ったときに、その葬儀社では「家族葬」「直葬(火葬)」「海洋散骨」という大きく3つの基本プランがあった、と書いた。
結果的には「火葬式」→「樹木葬墓地」を選んだが、私自身は死んだら海洋散骨してもらうとかっていいなあとかねがね思っており、母が骨壺はキモチ悪いとか言うくらいだし、いっそ父も散骨するほうがいいかなと一時は考えたりもしたので、海洋散骨についても、ちょっと書いておく。

海洋散骨とは火葬が済んだお骨(おこつ)を砕いて海に撒く……なんだけど、さすがに文字どおりやるといろいろ問題も起こる。海岸線から近いところで撒いてしまうと、「人骨が流れ着いた!」なんて騒ぎになったりもしかねないし、事件性がなかったとしても地元の人たちには気分のいいものではないし、漁業エリアだと風評被害なども心配だ。

なので、散骨してもいいエリアはけっこう限られてくるそうなので、海洋散骨したい場合も自分たちでやるとかは避けたほうがよく(完全NGではないようなのだが、かなりグレーゾーンらしい。かなり黒に近いグレーだ)、散骨を扱う葬儀社に頼んだほうがいい。最近は散骨してくれる葬儀社もけっこうあるようだ。

私が事前相談に行った葬儀社の場合は、海洋散骨の中でもさらに3パターンあって、
・遺骨を託し、葬儀社スタッフに一切を代わって実施してもらう
 (半年に1回程度で海洋散骨実施日があるので、そのときに)
・大型船をチャーターし、複数の家族が乗って合同で散骨する
・個別に船をチャーターし、日時や場所も希望に合わせて散骨する
とのこと。
ちなみに……遺骨を撒くといってもさすがに海風に乗せてばらまくとかではなく、水溶性の紙に包んで「沈める」感じだそうだ。そして海面にお酒を注いだり花を撒いたりして供養した後、港に戻って終了。
遺骨を粉末に砕く作業はさすがにちょっと勇気がいりそう……だが、これは葬儀社でやってくれるので大丈夫。逆に供養の意味で自分もやりたいという希望ならば、一緒にやれるところもあるようだ。

普通にお墓に収めたとしても、先々の墓参りとか法事とかって、誰がどうするんだ……?等々と考えると、散骨して“海に還る”ってのも悪くないなあと私自身は思ったりしている。海がお墓ってことは、海はつながってるから地球全部がお墓ですよ。これってすごいロマンじゃない?って。

話が逸れた。いずれ私が死んだときは……ってのは脇において、まずは父だ父。
父のお墓をどうするかについては、親戚一同が気になった。もともと父のきょうだいたちは仲が良く、本当なら葬儀にも来たいところを、口実をつけてご遠慮いただいこうとしているわけで。田舎の年寄りたちにはやっぱり、「海に捨てるのか!?」みたいな感覚はどうしたってあるだろうし、「いずれ、せめて墓参りはしたい」と思っているだろう。実際には、彼らが生きている間に墓参りに出向いてくる機会はないんじゃないかなとは思っているけど、「行こうと思えば行ける墓がある」のと「骨は海に捨てた(わけではないが)」のとでは、彼らの気持ちもだいぶ変わってくるだろう。

それから、遺影は必要だと言い張った弟が、姉としてはこれまた少々意外だったが、なんらかの形での「お墓」を望んでいるようだということもわかった。私よりヤツのほうこそ「なんでもいいんじゃない?」と言うタイプかと思いきや、「お参りできる場所」的なものがあってほしいということらしく。ヤツは性格的に、もし姉が「いや絶対に散骨だ!」と言うなら「……じゃあ、それでいいんじゃない?」と押し切られるタイプではあるのだが(というか逆か。姉が押し切るタイプだ、ってことか)、こういうことって、きょうだいでもちゃんと話してみないとわからないものだなあと、あらためて思った。

いちおう「納骨堂」も検討はした

父の出身地(親戚一同がいるところ)に「先祖代々の墓」はあるので、もし最終的にどうにも収めどころに困る……となれば、そこに入れてもらうことはたぶんできるだろうとは思っていた。
ただ、入れてもらうのはいいとして、その後、毎年のお盆には法事に行く……は、私はたぶんできない。弟家族はもしかすると旅行がてら何年かごとに行くとかはするかもだが、私は行かないと思う(くどいようですが、そもそも死後の世界はないと思っているし、わざわざお墓へ行ってもそこに父はいないと思う……だから)。

ましてJW母が墓参りに行くはずはない。親戚一同には「いちご家は、お骨を入れたらあとは知らん顔で……。あきれるわよね」みたいなことを言われるに決まっている。

いわゆる「お墓」に収めるとしても、「先祖代々の墓」とは別に、いちご家はいちご家で、新たに墓を用意したほうがいいだろうと思っていた。

テレビなどでは「都会のお墓」「現代のお墓」的な話題になると必ず、ロッカーみたいな「納骨堂」というものが出てくる。キーで扉を開くと、ちっちゃい仏壇みたいなものが入ってて、お参りできたりするやつだ。すごいところだと、ちっちゃいエレベーターみたいなのに一式が乗って運ばれてきて、目の前にくるとパカッと扉が開いて、ちっちゃい仏壇みたいなものがスルスル~と出てきたりとかするみたいで、「スゲーなぁ」と思ったりする。なんかいろんな意味で、「スゲーなぁ」としか言えない……。

人によりご家族によりいろいろ事情もあると思うので、納骨堂を利用している方を否定するつもりはまったくないのだが(本当にない)、私にはどうにもこうにも、あれはスーパー銭湯かなにかのロッカーに見えてしまい……(利用している方には本当にすみません)。とはいえ、自宅からあまり遠くない範囲にあるものをいくつか調べてもみたのだが、だいたいどれもお寺さんが管理している施設なので、「宗教・宗派に関係なく、どなたでも」とは書いてあるのだが、しつらいからして仏教色がとっても濃い。っていうか、仏教そのものに見える。でも、考えてみると、人骨を保管することが法的に認められている場所ってそんなにないはずで、もともと墓地をもっているところがお墓の新形態として運営しているってわけか……。そう思うと納得ではある。

それから、仏教色が濃い理由も、お寺の管理だからという理由だけでなく、もし本気で仏教色なしで作ったら、それこそスーパー銭湯のロッカー的なものになってしまうだろうしなあ……と思った。

まあ、私はJWではなく無宗教なので、「何でもいい」=「仏教っぽくても問題はない」はず、ではあるんだが……。なんか、モヤモヤはする。

そして、JW母は、どんな「墓」にしようが墓参り的なことには行かないだろうと思うので、なんだかんだ言っても受け流せばいいだろうなとは思ったのだが、さすがに最初の一度くらいは行くだろうし、この濃厚な仏教色は嫌がるだろうな……と思った。これは、申し訳ないが、母を心配してるんじゃなくて、「嫌な顔をする母を見るのが、私が嫌だ!」ってことだ。

あと、そうだった、納骨堂は意外に費用が高かった、という理由もあった。私が勝手に安めに予想してたからってだけなんだけど、なんとなく「ロッカーだし」とイメージしてたからってことだろう……。
もちろん、普通の(墓石の)お墓よりはずっと安いし、(ロッカーを連呼して申し訳ないが)ロッカーなだけに、きちんと稼働させるためには設備費がかかるから、ということなのだろう。設備が老朽化したら、修理とか建て替えとか……?お骨の行き先は……?っていう心配も、ないわけではないみたい。お寺さんの管理ならさすがにお骨を返されたりはしないと思うけれど。

「樹木葬墓地」がいいかもと思った

で、たまたま自宅からもかなり近いところにあったからという理由も大きいのだが、最終的には「樹木葬墓地」に決めた。
樹木葬」にもいろいろあるようなので、樹木葬の話は、また次回(ああ、やっぱり全然終わらない……)。


10/5追記:

またもや料金について書くのを忘れていたので、参考までに……。
海洋散骨の料金

●委託散骨
遺骨を託し、家族に代わって葬儀社のスタッフに海洋散骨してもらう
4万9500円

●合同散骨
複数の家族が一緒に乗船して海洋散骨する
10万7800円(会員になれば7万7000円)

●個別での海洋散骨
東京湾(横浜出港)プラン
・定員6名  19万5800円
・定員15名 32万7800円
東京湾(横浜出港)プラン
・定員40名 32万7800円
相模湾(江ノ島・平塚出港)プラン
・定員5名  16万2800円
・定員10名 19万5800円
相模湾(葉山出港)プラン
・定員10名 32万7800円

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