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実は攻撃時に働くノルアドレナリン

こんにちは
心と体の声を聞くセラピストの一柳成美です。

今回は、前回の内容ですこしだけ出たノルアドレナリンについてお話ししたいと思います。


みなさん、こんな言葉をよく聞きませんか?


「試合中怪我をしたけど、アドレナリンが出ていて痛くなかった」


興奮すると分泌されるのは「アドレナリン」。
テンションが上がったり、パフォーマンスが上がったりするイメージがありませんか?


それとは反対に、あまり聞き馴染みのない

ノルアドレナリン

名前が似ているから、間違われやすいうえ始めて聞くかもいるのではないでしょうか?

でも、本当はとても大事なノルアドレナリン。
今回はそんなノルアドレナリンについてお話します。


ノルアドレナリンとは


ノルアドレナリンは、ドーパミン、セロトニンと同様に神経伝達物質の一種です。

神経を興奮させる神経伝達物質で

思考力、集中力、意欲、積極性のはたらきと

不安、恐怖、緊張などの感情・精神状態にも

深い関係があります。

☆別名「怒りのホルモン」とも言われ、ストレス時に反応するため、ストレスホルモンの一種でもあります。


一般的なノルアドレナリンの働き

危険を察知すると、交感神経系が刺激されます。
その結果、心拍数や血圧を上昇させ、覚醒、集中、判断力の向上、痛覚の遮蔽などの効果をもたらし、脅威(外敵など)に対抗する働き(闘争か逃走)をします。

この危険を察知したとき、交感神経の情報伝達物質として放出されるのがノルアドレナリンです。


ノルアドレナリンとアドレナリンの違い


興奮した時に分泌されるホルモンの代名詞とも言える「アドレナリン」は、広く一般に知られた言葉です。


働き方や名前が似ている「ノルアドレナリン」と「アドレナリン」にはどういった違いがあるでしょうか。



①原料が一緒

アドレナリンとノルアドレナリンはドーパミンと共に副腎髄質から分泌されるカテコールアミンという化学物質系に属し、これらの物質は、チロシンというアミノ酸が原料になっています。

②合成方法上、繋がりがある。

二つの合成は、以下の順序で合成されます。

ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン

つまり
『ノルアドレナリンが分泌されることでアドレナリンも分泌される』

または、
『アドレナリンの分泌にはノルアドレナリンが必要』

という関係があります。

③分泌場所と分泌条件が似ている
副腎髄質は、交感神経に支配されているため交感神経の緊張すると血中にカテールアミンが放出されます。

副腎髄質から放出されるホルモンの中では、アドレナリンの放出が約80%と最も多く、残りの大半はノルアドレナリンであるといわれています。

またアドレナリンとノルアドレナリンは、どちらも交感神経が活発になったときに放出されます。

💡注意💡
①分泌場所が微妙に違う
◉ノルアドレナリン
副腎以外にも交感神経系の末端でも分泌される

◉アドレナリン
アドレナリンが分泌するには『フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラー(PNMT)』という酵素が必要だが、副腎髄質以外にはほとんど存在しない。
つまり、アドレナリンのほとんどは副腎髄質で分泌されます。(一部脳の中枢神経系でも分泌されます。)



②作用が微妙に違う
どちらも、交感神経が刺激され興奮したイメージであってますが、作用は微妙に違います

◉ノルアドレナリン
主に脳(精神)に作用して、感情の昂ぶりやイライラなどを生み出す

◉アドレナリン
主に肉体(筋肉や血管)に作用して、運動能力を高める


適度に分泌されると


①ストレスを学習して順応する働きがある
ノルアドレナリンには、体験したストレス状態を学習して、そのストレスに順応させる作用もあります。例えば、初めて大勢の人の前で話をしなければならないという体験をするとき、最初は誰でもノルアドレナリンが沢山分泌されて、高い緊張状態を生みます。
しかし同じ経験を繰り返す事で、次第に慣れて緊張しなくなった経験はありませんか?

② 高パフォーマンスに繋がる
ノルアドレナリンの分泌バランスが取れていれば、物事の判断力に優れ、ストレスへの耐性が強く、危機に立ち向かう率先した行動が取れ、リーダーシップも発揮しやすい状態になります。

過剰に分泌されると



①攻撃性や恐怖感、不安やイライラなど、ネガティブな感情も増幅する

ノルアドレナリンが必要以上に分泌されると神経が荒ぶり、不安感や攻撃性が強まることにつながり、パニック障害などを引き起こす恐れがあります。

※パニック障害とは
突然、呼吸困難や動悸などのパニック発作から始まり、症状を何度も繰り返す病気です。ノルアドレナリンが異常に興奮することにより、めまいや動悸、心拍数を上がるなどの症状がみられます。


②副交感神経の刺激が弱くなる
ノルアドレナリンには交感神経系を刺激して血圧や血糖値などを上げる作用があります。交感神経系が刺激され続けることで、副交感神経系の働きが弱まり、胃や腸と言った内臓の機能が制限される睡眠の質も悪くなって成長ホルモンなどにより細胞の修復機能も弱くなります。



分泌が不足すると

①仕事や学習の効率低下、注意力が散漫になる
集中力や判断力は低下して、いつも頭が重たくて、ぼーっとしてしまい、学校の成績や仕事の成果も悪くなりがちです。

②外部からの刺激に鈍くなる
意欲や判断力が低下、無気力、無関心となり、いわゆる抑うつ状態の症状が現れます。
ほんの些細なことでもイライラしたり、ちょっとした失敗やつまづきなどでも、すぐに落ち込んでくよくよしやすくなります。また新しいことに意欲がわかず、何事にも無気力で無関心です。

③交感神経系の刺激が弱くなる
低血圧、貧血、めまいや立ちくらみなど起こしやすくなります。
交感神経系が刺激されにくく、覚醒を維持する力が弱いため、昼間でも強い眠気に襲われたり、朝起きられずに長時間寝過ぎてしまう起立性調節障害という自律神経失調症の一種を発症している恐れがあります



こうした自分の意志ではどうすることもできない生活が続くと、次第に抑うつ気分が強くなり、知らず知らずのうちに涙が流れてしまうこともあります。このようなノルアドレナリンが不足した生活を送れば、うつ病などの精神疾患を発症する可能性が高くなります。



分泌過剰の後、枯渇することで起きる変化

強いストレスを受けると、はじめのうちはストレスに抗うため、ノルアドレナリンとストレスホルモンのコルチゾールが分泌されて、心身を正常に戻す働きをします。

しかし『過剰なストレス』が長時間続くと、次第にノルアドレナリンが不足しだし、最後には枯渇してしまいます。
その結果、ストレスに抗う意欲がなくなってしまい以下の症状が出ます。


①ストレス耐性の低下
ノルアドレナリン受容体は、少なくなったノルアドレナリンを有効に使用するため、感受性を上昇させます。つまり、ちょっとした小さな事にでも過敏になり、過剰な攻撃性や逃避反応を示すようになります。

②無気力状態になる

最初は、ストレスに対抗できていても枯渇したことにより、外部からの刺激に対抗できない状態となり結果として無気力になってしまう。

③うつ症のリスク
ノルアドレナリンの分泌が増えると、心のバランスを保つ作用のあるセロトニンが分泌されて、ノルアドレナリンの暴走を防ごうと働きます。
しかし、ノルアドレナリンが枯渇するのと同じように、ストレスがかかり続けることで、セロトニンも枯渇します。
ノルアドレナリンやセロトニン、コルチゾールの過剰分泌から、やがて枯渇するまでに起こる気分や体調の変化(最初はストレスに攻撃性を示すが、最後はやる気ゼロの抑うつ状態)は、典型的なうつ病の発症プロセスにも類似している点が多々あります。


ノルアドレナリンを効果的に得る方法

①時間制限を設ける
ほどよい危機感を与えて集中して行動がした事で、ノルアドレナリンを放出しやすくなります。例えば、「9日の15日までに書類を作成しないとまずいぞ!!」などです。時間制限といえば、「ポモドーロ・テクニック」という方法が定番です。
ポモドーロ・テクニックとは、25分の作業と5分の休憩を繰り返す方法です。


②運動をする
運動により、脳に刺激を与えることでノルアドレナリン分泌が活性化されます。


③アロマオイルなど良い匂いを嗅ぐ
嗅覚を刺激することで、交感神経が刺激されノルアドレナリン分泌が増える効果が期待できるようです。



神経伝達物質は、現在100種類以上が存在するといわれ、約60種類が見つかっています。このうち、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンが心の安定に深く関わっているといわれています。

ノルアドレナリンとドーパミンは興奮性の神経伝達物質で、セロトニンは抑制型の神経伝達物質とされ、この3つがバランスよく働いて心の健康を保っているとされています

つまりこの3つのバランスが崩れることで心の状態が崩れ、体に影響を起こします。

現代社会は、日常生活でよくストレスをうけやすいです。そんな生活のなかでも、心と体の声を聞き、自分を大切にしてほしいと思います☺️


最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んていただけると嬉しいです。

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