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雨が降った

ぜんぜん無事じゃないけど退職をした。気づいたら二桁も働いていた。我ながらよく続いた物だ。

まだまだずっと働きたかった。医療業界で一番変化のある場所だった。その変化のために、めちゃくちゃ勉強していた。置いて行かれたくなかったし、誰より詳しくなるくらいの勢いでやらないと自分は抜けが多いので。

抜けの多い人生なのである。正直ちょっと足りてないのだ。でもそれを補うために頑張っていて、評価もして貰っていたので、頑張れていたのだろう。自分で言う「頑張っていた」はただの独りよがりだけれど、人に評価してもらった「頑張っていた」はずっと誇りにしていたいと思う。

二桁でノート4冊、みっちり書いていたわけではないけど、直筆が嫌いな自分にしてはすごい量だ。このノート、もうどこにも使われないのである。

私は誰にも遺して行かなかった。データも、なにもかも、遺す時間をもらえなかったから。誰かがデータを読んでくれればまあ、上出来な方だろう。

ありがとうだけ言うことを許されて帰る私の背に夕立が降った。がんばったねと言うふうに、なんだかことあるごとに雨が降る。がんばったのだと、今日だけは自分が認めようと思った。本当のことを聞いてくれる人もいた。頑張ったと言ってもらえる人だけを大切にしながら、何も遺さず去るのだ。


#退職エントリ

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