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【エッセイ】不意打ち

不意打ちの威力よ
その凄まじきこと ゴルゴ13の命中率の如く
その無意識度合いの高きこと
ゴルゴ13の背後に立ってはいけないことを知らず背後に立ってしまった者の末路の如し


いやぁ〜久々にやられました。
嬉しい不意打ちだったのですけれど、
こんなにも照れて恥ずかしい感覚を味わったのは
いつ振りかしら?笑

その出来事は昨日のお昼頃に起こりました。


私は職場にて仕事中。
私の仕事は患者さんを相手にするお仕事。
といっても私自身は医師免許を保持しておりませんので、医師でなくともできる仕事、つまりお医者さんのお手伝いをする助手のお仕事というわけです。

時間は、あと1時間弱で職場は休憩時間に入るというお昼の時間帯。
休憩前の最後の患者さんである、高齢の女性をご案内していました。

荷物置き場をご案内し、
席にお掛けいただきます。
そして、他のどなたにもしているように
患者さんの両サイドでいくつかの作業を始めました。

……やけに視線を感じます。
気になってその方向に目を向けると、
患者さんがめちゃくちゃ私を見ていました!

ビックリ!!

たいていの患者さんはこのタイミングで前を向いていらして、目が合うことはまずありません。

時々、作業をする私の手元を見ている方は数名いらっしゃいます。
しかし作業中に顔を見られる、ましてや視線がバチっと合ってしまうことはまずありません。

ですから、内心飛び上がるほど驚きました。
しかも患者さんはちょっと口元が開いたままで、呆然としていらっしゃる感じも見てとれます。

「(えっと……あっ!
 もしかして外が暑かったから気分が悪いとかかな!?)」

しかし、そういう様子ではなさそうです。
となると思い浮かぶのは私が何かミスをしたという可能性!
「(私、何かおかしいことしちゃった?!)」
心の中でプチパニックの私。
しかしここまではなかなか間違えるほど難しいこともありませんでした。
考えても思い当たる節はないので…
何とか平成を装い、ニコッと微笑みかけて
次の作業を進めようとしたのですが、
ご案内したイスから半身をこちらに向けるように
身体ごとこちらを向かれているではありませんか!

さらにビックリ!
これはきっと私自身の服装なり何なりに問題があるんだ!と直感した私は、とりあえず見て確認することができる服装をチラッと確認。
しかし職場の制服に特大の汚れやボタンのかけ違いなどおかしな点はありませんし(それならそれまでのどこかのタイミングで同僚の誰かに注意されるはずだし…)、特に問題はありませんでした。

ということは顔が問題か?!
そう、この時間はバタバタな時間帯も乗り越えてきて、化粧崩れという名の『目元がパンダ現象』が始まる可能性のある時間帯!
そうか!それは目が留まってしまっても無理はない!きっと今日は早めにパンダが来てしまったんだわ!と思った私は、
いつどうやって目元を拭おうかと考え始めました。(この時、手元は物を持っている為使えないのです!滝汗)

するとその時、
患者さんがポツリと一言仰いました。

「あなた、ピンクが似合うわねぇ〜」


……へ?
心の中で気が抜けた言葉が出てしまいました。

そしてその次の瞬間には、
反射的に
「あ、ありがとうございます(照)」
と、どもりながらそして照れながら言葉を返していました。

いやいや!お世辞かもよ?!
いや、お世辞でしょ!

心の中にいる複数人の私が次から次へと文句を言ってきます。
そうですよね、そうかもしれません。
普通なら気が付きそうなものです。
お世辞の可能性もあると。

しかし、家族ではない人から真っ直ぐ目を見て褒められたのなんて何年振りか分かりません。もう遡れないほど昔のこと。
(だいたい家族から褒められるなんてことも、もう何年もありませんが笑)

良いじゃない!
ちょっと嬉しくなっちゃったって!笑
(逆ギレ笑)

患者さんが本心から言って下さったのか、
それともお世辞で言って下さったのか、
本当のところは分かりません。

しかし私は本心から言って下さったものだと感じたので、素直に受け取ることにしました。

そして、手が空いた次の瞬間、
パンダになっているかもしれない目元を
隠れて拭ったのは言うまでもありません笑


私ももう37歳。
まだピンク色の服を着ても良いみたいです!笑

勘違いの威力もまた凄そうですが笑、
予想だにしなかった不意打ちの一言。
こんな嬉しいサプライズは
ちょっぴり恥ずかしいけれど大歓迎ですね笑

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