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【レビュー】『ルフィの仲間力』

ほとんど本を読んでこなかった人間がポツポツ読書を始めました。
そんな人間によるレビューです。カナリ個人的で的外れな内容もあるかと思いますので、その点ははじめにお断りしておきたいと思います…。


『ルフィの仲間力』
安田 雪 著 アスコム 2011.9.20

●この本について
社会ネットワークという分野が専門の著者が、大人気漫画『ONE PIECE』の主人公ルフィの魅力から『仲間』や『組織』について解説した本。
『ONE PIECE』好きの人には内容がすんなり頭に入ってくること間違いなしの一冊。

・『ONE PIECE』という作品全体や主人公ルフィ、主要な登場人物が大人気である理由
・ルフィに仲間が集まってくる理由
・ルフィと仲間の関係性
・麦わらの一味という組織

●レビュー
★★★★★(星5つ)
『ONE PIECE』好きの私には特に面白いと感じる一冊だった。
※2011年の本なので、最新の『ONE PIECE』までは網羅されていないことは断っておきます。

漫画や雑誌でないと活字が読みづらい人でもこの本は大変読みやすいのではないかと思う。
読書歴が浅い私でもサラッと一冊読み切ってしまった。

また、漫画だけに関わらず、物語を作る人にはかなり勉強になる部分があるのではないかと思った。

これだけヒットするということは、時代にぴったりとマッチしているからだということ、『ONE PIECE』がヒットしているのは○○という理由だ、という部分には特に何度も首を縦に振ったり、感嘆の唸りあげたりしながら読み進めた。

しかし、本書の肝はそこではない。
主人公ルフィのもつ人心掌握術・コミュニケーション能力(=タイトルにもなっている『仲間力』)がメインだ。
しかもそれが実生活で応用できる部分が数多くあるという。
漫画・アニメを通して知ったことは、どうしてもフィクションとして見ているために、それをどう現実に落とし込むかという見方はなかなか頭が追いつかない。フィクションと現実との切り替え・リンクがそう簡単には出来ない。

それを『ONE PIECE』のシーンや人物を例に出して説明することで大変分かりやすく解説されており、それなら自分もできるかもしれない、やってみようかなと思える内容が揃っていた。

『ONE PIECE』の主人公ルフィは大変素晴らしいキャラクターで、現実にルフィのような人はなかなかいないかもしれないが、ルフィ以外にも登場するキャラクターは数も大変多く多種多様。
ファンの人達は、その中の一人に自分を投影したり、憧れを抱いたりしながら読み進めているのではないかと思う。

世の人々が困ったり悩んだりしているそのままの姿をしたキャラクターがいて、その悩みや性格そのままなのに活躍するかっこいい場面を見たり、
ルフィや麦わらの一味、その他の見た目にもスペック的にもカッコいいキャラクターが、見た目そのままのカッコ良さを発揮する場面を見たり…。
『ONE PIECE』はそれだけでも充分過ぎる程楽しく、設定の深い作品だけれども、それだけではない。

物語に出てくる個性の強い麦わらの一味が仲間になったり対立したり…その物語一つ一つでもカナリ深く涙なくしては見られないものばかりなのに、
これでもかというくらいに、ルフィに関わる仲間以外の登場人物にまでも泣かされる。

それだけ今の世の人々が求め欲しているものが見事に描かれているのだ。

その『ONE PIECE』には複数の切り取り方(見方)が出来ると思うが、その一つが本書であるように思う。
ルフィのもつ人心掌握術というキーワードから、解剖してみたのがこの本だ。

私はこの本に出会って、自分の『ONE PIECE』熱を自覚するとともに、この物語を作り上げている作者尾田栄一郎氏に嫉妬するとともに、神と崇めたいと思った。
神に嫉妬するなんておこがましいが、目指す山は高い方がいい。

●真似したい点
・切り口の面白さ
・説明の分かりやすさ/語り口のとっつきやすさ
・難しいことを分かりやすく伝える術
・ニッチな市場

●う〜んな点
・…ないかもしれない!
(是非、著者の安田さんには他の漫画作品でも本を書いていただきたい。
 また、出版社のアスコムさんには安田さんのような専門家をありとあらゆる方角から集めていただき、シリーズ化していただきたい。)

●最後に
私はこれをオーディオブックで聴く事により読了した。
今回の本も学ぶことが多すぎて、多くの場面でメモを取りたくなった。
私の読書記録はまだ各項目が確定していないのだが、オーディオブックではページ数を把握することができないので、既存の付箋機能の他に、目次の一覧を記憶しておくようにしているのだが、
目次の単語や文章をコピペできる機能もしくは、目的の一覧を印刷できる機能ができてくれると大変嬉しいな…と思った。
(ここで言うなという感じだが…機会があったらリクエストしたいと思うので、ひとまず忘れないようにここにも書いておこうと思う笑)

この本も私にとって忘れられない一冊となった。
漫画やアニメを見るということ一つをとっても、もの凄い労力をかけられ、バックグラウンドに相当数の設定が隠れた構成のもと組み上げられたものを見せてもらっているんだなと感じて漫画文化にまた誇りを持てたなと思った。

漫画ではないが、創作という芸術にまた一段と魅力を感じることとなった一冊だった。

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