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松岡学「5歳からはじめるいつのまにか子どもが算数を好きになる本」

・本書は、大学で数学の研究や教育に取り組む傍ら、一般の方々に「数学の心」を伝えるため活動する著者が、子どもが算数に取り組む勇気を取り戻すための方法として、算数にアドラー心理学を掛け合わせた手法を紹介した1冊。

算数にアドラー心理学が必要な理由は、
①算数が好きになる
②自発的なやる気を育てる
③お母さんが生き生きしてくる
④家庭の雰囲気がよくなる
⑤幸せになれる
の5つがあるから。アドラー心理学では、頭ごなしに子どもを叱ったりせずに、子どもの気持ちを尊重した接し方をする。それにより、「算数を好きになる」ような気持ちを育む。また、算数力を身につけるには、嫌々やるのではなく、自発的に取り組むことが大切である。

・子どもの算数力をアップさせるために効果があるのが、アドラー心理学による「勇気づけ」。算数を教えるとき、算数の内容や解き方ばかりに意識がいってしまいがちだが、実は子どもとの接し方などの気持ちの部分がとても大切。本書では、算数の内容というより、算数を通した子どもとの接し方にフォーカスして、著者がお話ししている。

・算数や数学は基本的に難しいと思われがちで、受ける側の勇気をくじかれやすい教科。そのことを念頭において、まずは、子どもを勇気づけること。算数以外のふだんの様子からら子どものよいところに注目したり、気分転換として一緒に映画を見たりするのもよい。

・算数の特性は、「解ける」「解けない」がハッキリしているということ。なので、問題が解けないと、どんどん自信をなくしていき、やがて数字を見るのもイヤになる。この場合、「問題が"解ける"喜びを味わう」ことがいちばんの特効薬であり、それにより、「算数でなくした自信を、算数で取り戻すことができる」のだ。問題が解けた喜びで、算数に対するイメージが好転する。周りがいくら騒いでもら子どもは算数を好きにならない。

・「問題が解ける」ようにするためには、「同じテーマで、いちばんやさしい問題を解く」こと。とにかく、やさしい問題が解ければ良いのだ。「解ける」喜びを感じるうちに、少しずつ自信につながる。そういう意味では、算数は「達成感」や「自己肯定感」を得るのに最適な教科だといえる。このときに、気をつけてほしいことは、「わかったふりをしない」ということ。わかりやすくいうと解けなくてもいい。「解けないことがわかる」ことが大事なのだ。

・子どもが気持ちよく算数を学べる環境を作るには、「心地よいスペース」を意識すること。ここでのスペースは、「その場の空気、雰囲気、環境」という意味である。子どもにいい影響を与えるには、気持ちよく勉強できる環境を意識すること。家庭で心がけることは、「場づくり=安心できるスペースを創る」ことを意識すること。アドラー心理学では、子どもの居場所をとても大切にしている。ありのままの子どもを受容することで、お母さんと子どもの間に安心できるスペースが生まれる。それが、「安心できるスペース(居場所)」である。算数を理解しているかどうかより、安心できるスペースがどうかを意識すること。

・本書では、「子どもが算数に自信が持てないときにどうすればよいか?」「著者がアドラー心理学を算数の勉強に取り入れるきっかけやその必要性について」「 お母さんの算数とのつき合い方」「子どもへの勇気づけの実践法」「幼児〜小学生〜中学生〜高校生という年代別の算数(数学)のポイント」「お母さんがキラキラ輝くために心がけること」など、算数がキライ→スキになり、子どももお母さんも幸せになる算数の勉強術について紹介した内容となっている。

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