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吉金佳能「小学校理科 探究的な学びのつくり方 子ども1人1人に力をつける授業デザイン」

・本書は、小学校教諭で、「教育×ICT」をテーマとした私立小学校のコミュニティ「192Cafe(いちきゅうにカフェ)」を立ち上げるなど、教育現場全体のICT推進にも尽力する著者が、小学校理科における探究的な学びのつくり方を、授業デザインという視点でまとめ、ベースとなる考え方と実践アイデアを掲載した1冊。

・本書では、「探究」=「学習者が自己選択・自己決定する学び」と定義している。
・「学び」とはそもそも学習者が主体であるべきものだが、「探究」はそのことをより強く示している言葉という捉えである。
・探究で目指すのは、「学習者の自立」。何を学ぶのか、どこでどのように学ぶのか、学習の計画や意思決定の主体が学習者にある学びである。
・探究は、個に焦点を当てた学びである認識が極めて大切となる。

・探究のキーワードは、字のごとく「探る」と「究める」である。
・探究は、明確なゴールのない学びと言える。つまり、教師が普段行っている「ゴールから逆算して授業を作る」ということが難しいのだ。また、探究的な学びでは、活動が多様化し、個々のフォローも必要となる。そう考えると、学校教育では、ますます難しいように感じてくる。
・しかし、学校でこそ、答えのない、見えないなりゆきを追いかける学びを通じて、不透明な時代を生き抜く逞しい子を育てたいという想いも持たれているだろう。
※探究のプロセス(課題の設定・情報の収集・整理と分析・まとめと表現)について解説しているが、詳細は本書をご覧ください。

・「探究」が注目されている理由として、
①主体的・対話的で深い学びを実現するため
②子ども1人1人が主語の学びを目指すため
③社会的要請
④学校で「公正」を実現するため
という4つが挙げられている。
・探究的な学びで得られるものは、経験に裏打ちされた知識・技能だけではなく、探究のプロセスを回す経験や多面的・多角的に考えるといった思考方法、また失敗を恐れずチャレンジするというマインドなど、多くのものがある。
・また、これからの時代を生き抜くために必要な資質・能力も探究で獲得を目指している。
・「理科」という教科に絞って考えた時、探究で得られる特徴的なものとは、「科学リテラシー」である。
・人が意思決定をする際、ある程度の科学リテラシーがないと、正しい判断をすることが難しくなる。
・理科における探究的な学びを通して、科学者が行っている活動を体験する中で、科学リテラシーを高めることができる。
・また、そうした学びを通して、学習にポジティブな感情を持つことも重要。そして、試行錯誤を繰り返す中で「自分は難しそうな活動でも取り組むことができる」という自己効力感を持つことができる。探究的な学びでは、そうした非認知能力も高めることができる。楽しいから試行錯誤が生まれるのだ。

・本書では、「理科と探究」「探究的な学びのつくり方(理論編・実践編)」「学年別 探究的な学びの授業アイデア」「探究的な学びの授業デザイン」「科学コンテストのすすめ」「理科と探究 Q&A」という章で構成されており、「探究的な学びの授業デザイン 活動のつくり方(グループ学習・個別学習など)」「評価の方法(診断的評価・形成的評価・総括的評価」「アウトプットのつくり方(プレゼンテーション・ポスターセッション形式・TED形式など)」といった新しい理科授業の在り方について考える内容となっている。

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