木村好珠「スポーツ精神科医が教える 日常で活かせるスポーツメンタル」
・本書は、子供からトップアスリートまで、幅広くメンタルサポートをすることができる新鋭のスポーツ精神科医である著者が、著者のスポーツメンタルのメソッド(気持ちのコントロール方法・チーム力アップの心得・メンタルの整え方など)を紹介した1冊。
・日本と海外では、"メンタル"という言葉自体の捉え方が違っている。日本では「気持ち。心」と答える人が多いが、海外(スペインの場合)で同じ質問をすると、「メンタルは思考。だから、メンタルは脳にあるわ」など「脳」をメンタルと考えている。
・メンタル=思考と考える理由のポイントとして、「思考が定まっているか」が挙げられる。日常において、「大事なプレゼンで力を発揮できない、大きなクライアントの前ではどうしても上手く言葉が出てこない」などのシチュエーションになったとき、「頭が真っ白になっちゃった」と表現するが、これを現代風に言うと、テンパっちゃっている状態である。この「頭が真っ白」や「テンパっている」という状態をわかりやすく言語化すると、頭が回っていない状態、つまり、"思考が定まっていない状態"と言い換えることができる。
・このことから、メンタルが弱い状態になる="思考が定まらなくなる"という定義が浮かび上がってくるのだ。
・逆にメンタルが強い状態とは、その人たちが相手が誰であろうと常に思考が働いているので、適切に対応ができ、変な不安や緊張感を持つこともない。
※メンタルの正体の詳細については、本書をお読みください。
・自分の気持ちをコントロールするには、まずは自分の気持ちを知ることが大切。その方法として、「日記を書くこと」を著者は勧めている。
・日記を効果的につけるコツは"感情"と"いいこと"の両方を書くこと。まずは自分の行動とともに、"そのときどう思ったか"について言及すること。そのときの行動に感情までしっかり明記することが大事である。
・難しい内容はまったく必要なく、「楽しかった」「嬉しかった」「悲しかった」「ムカついた」など簡単な言葉でよい。自分で行動を思い返して、「感情があるんだ」と見つめることが重要なのだ。
※もうひとつ、日記を書く際のプラスアルファポイントの"いいこと"についての詳細は、本書をお読みください。
・本書では、「メンタルの正体」「コミュニケーションの磨き方」「気持ちに気づきコントロールする」「チームの力 アップの心得」「メンタルを整える時間の過ごし方」「選手の声からメンタル。読み解く」という章で構成されており、「メンタルは整えるものである」「"ダ行の言葉禁止"(でも・だって・どうせなど)を意識してみよう」「自己肯定感は無理して作るものではない」「ハラスメントとチームの関係」「目標の立て方」「食事と睡眠は何よりの精神療法」など、万人に効くスポーツメンタルの極意が紹介された内容となっている。また、巻末には「長谷部誠・イチロー・那須川天心」というサッカー、野球、ボクシングで活躍した選手たちのメンタルの事例について収録されている。
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