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田井基文「世界をめぐる動物園・水族館コンサルタントの想定外な日々」

・本書は、日本で唯一、「動物園・水族館コンサルタント」として日本全国のみならず、世界中の動物園・水族館をおよそ1000以上めぐり、12年以上仕事をしてきた著者が、これまでの仕事を通じて、動物園、水族館の表舞台の裏側にあるたくさんのドラマ、生き物たちユニークさや、動物園、水族館にかかわる人たちの姿などを紹介した1冊。

・「動物園・水族館コンサルタント」の仕事内容として、
◇監修・プロデュース(「ハーモニー学習帳」に掲載する写真と文章の監修・動物園や水族館で行われるイベントの企画・監修など)
◇ツアーガイド(旅行会社と組んでツアーの企画と同行)
◇国際会議の企画、オーガナイズ(著者が企画したり手配したりなど)
などが紹介されている。
・海外(韓国)の動物園に行った際、動物用の餌を準備したり冷凍保管したりするための場所がないことを知り、リニューアルあるにあたり、肉食獣用のキッチンを新設することにした。
・なぜ、そのようにしたかというと、ストックを保管する冷凍庫を置く場所がないと、レストランに毎日肉を届けている業者にトラブルが起きた場合、動物たちはその日に食べるものがなくなってしまう。
(通常、どの動物園でのだいたい10日分くらいの食料ストックは冷凍しておくもの)
・また、人間が食べるクオリティの肉は、脂肪分が多すぎたり柔らかすぎたりすることがあるため、動物にとっては高級すぎる。
・少し硬いくらいの骨つき肉をワイルドに噛みちぎって食べるくらいのほうが、ミネラルやカルシウムといった必要な栄養素を摂取できるという面でも、自然本来の近いという面でも、適切といえる。
・また、実際に動物用の中に切り替えたことで、餌代はそれまでの3分の1程度にコストカットできたとのこと。
・このように、一施設の中だけでは判断しきれないものや、世界中の動物園・水族館をつなぐ「ハブ」のような役割を、動物園・水族館コンサルタントが担っている。
※日本で動物園・水族館コンサルタントが著者しかいない理由や、その他の著者仕事の事例については本書をお読みください。

・動物園・水族館の生き物は、そこで暮らしながら、自然と繁殖することもある。しかし、本来単独性の動物のオスとメスを長年同じ場所で飼っていると、お互いを異性と意識できなくなるのか、自然繁殖しなくなることがよくある。そこで、種によって歯、単独性の動物性はオスとメスとを分けて飼育し、発情のタイミングでのみ一緒に繁殖を試みるという方法が採用されている。
・自然繁殖がうまくいかないときは、人間の生殖医療と同じようなイメージで、人間の生殖医療と同じようなイメージで人工授精を行うこともある。
・このように、動物園や水族館での生き物の繁殖は、基本的に人間のコントロール下にあるのだ。
・人間が命をコントロールしようのいうのは、ある意味なかなかおこがましいというか、難しいところでもある。現に、「しばらく増やさないでおこう」と考えていた動物が、1990年代のピーク時には国内に122頭いたが、現在はたった3頭になってしまった、というケースもある。
※どの動物なのかの詳細は、本書をお読みください。

・本書では著者のこれまでの動物園・水族館コンサルタントとしての活動、著者が動物園・水族館コンサルタントになった経緯、動物園、水族館の生き物を支える人々の裏側のお話、動物園、水族館にいる生き物たちのあり方など、著者の仕事の舞台裏や、実は知らなかった動物園、水族館の生き物たちのエピソードなどが収録された内容となっている。また、日本や海外のおすすめの動物園・水族館、陰で動物園・水族館を支えるスーパー飼育係、獣医さんなどの事例も紹介されている。

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