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吉田真衣+大槌刺し子「いとなみを取り戻す」

・本書は、大学時代、南部アフリカに留学→NPO法人にて海外事業国内担当、会計事業等を担当→2015年より大槌復興刺し子プロジェクト(現大槌刺し子)事業部長、という経歴を持つ著者が、岩手県大槌町の事業「大槌刺し子」を通じて著者が得た気づきや、心身ゆたかで持続可能な仕事と生きかたのヒントについて紹介した1冊。

・「大槌刺し子」の創業のきっかけは2011年の東日本大震災。町役場が被災した大槌町は、行政機能の大半を失い、1000人以上の方が避難所での暮らしを余儀なくされる。
・その状況をなんとかしたいと始まったのが、針と糸、布さえあればどこでもできる刺し子製品の制作、販売である。かつて、東北で盛んに行われていたこの針仕事を通して、もう一度生きる希望を見出し、少しでも収入を得て、暮らしを立て直す糸口としてほしい、という思いから、5名のボランティアが集まり、プロジェクトがスタートした。
・その後、大槌町に住むごく普通の女性たちや各地から集まった支援者をはじめ多くの人を巻き込んで、徐々に事業になっていき、これまでに1億6000万円以上の売上を達成し、現在はら企業とのコラボレーションションを行うなど活動の幅が広がっている。
・また、ものを大切にするサステナブルな暮らしの象徴として、刺し子の魅力が見直され、注目を浴びる機会が増えている。
※大槌刺し子のプロジェクト発足から現在(2022年5月時点)に至るまでの詳細は本書をお読みください。

・著者は、大槌町での大槌刺し子のプロジェクトを通して、刺し子の魅力や可能性に気づいたとのこと。
・具体的には、大槌刺し子は、手仕事の価値を伝えられる事業であること。刺し子そのものに大量生産品にはない魅力があること。そして、刺し子さんの技術が着実に進歩していること。
などが挙げられている。

・現代社会では、マネジメントとは、「売上や効率を優先してマネージ(管理)することであった。しかし、著者たちが行ったのは、効率だけを考えて管理するマネージではなく、人を前提にするマネージである。
・事業を継続させるために必要な時間管理や生産性の向上も行いながら、商業的いとなみと、刺し子さんたちの日々のいとなみのバランスを取りながら進む。それがたとえ、非効率であっても、なんとかしていった。
・実際に取り組んだのは、生産量を調整したり、技術を向上させたりするなど、基本的なことや単純なことの積み重ねであったが、これが大槌刺し子ならではのマネジメントスタイルとなり、刺し子さんたちが「楽しい」「続けてほしい」と言ってくださる組織、いきいきと輝く組織につながっていったのだ。
※「人」と「事業」のバランスで葛藤していき、どのように事業として成長していったのかの詳細は本書をお読みください。

・本書では、「何もかも未経験 大槌刺し子の誕生」「支援と事業の狭間で 事業化についての学び」「ビジネスではなく「いとなみ」を 経営のあり方についての学び」「できていることを見よう 人と組織についての学び」「手仕事が教えてくれたこと 暮らしと生き方についての学び」という章で構成されており、大槌刺し子の誕生から現在に至るまでの歴史、現在に至るまでのどのような苦労、葛藤があったのか、そこから得た学びや気づきとは何かについて紹介された内容となっている。

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