高木芳徳「トリーズの発明原理40」
・本書は、データサイエンティストとして新規事業(電子お薬手帳)に、アイデアクリエータとしてイメージセンサ事業部等の特許活動に携わる著者が、非常に優れた発明と問題解決の理論である「トリーズ(TRIZ)」について紹介した1冊。
・トリーズ(TRIZ)とは、ロシアの特許捜査官が特許をベースに作成し、200万件以上の特許で、定量的に検証・ブラッシュアップした、分野を超えて利用できる、「発明的な問題解決の理論」である。
・その中でも、最初に作られたのが、「40の発明原理」であり、これを用いると、他分野における過去の失敗や成功からより深く学べるようになる。
・また、異分野の技術者同士やビジネスパーソンの間で今まで難しかった「技術の本質に迫った話」ができるようになる。
・著者も40原理を覚えたことで、英単語をとつ400語覚えるよりもずっと技術的に豊かな生活を送れていると断言できる、と言っている。
・多くの場合、「問題」というのは、矛盾した2つ以上のこと(あちらを立てればこちらが立たず、の状態)を、一度に解消しようとするところから生じる。
・問題を解決する際、40もある発明原理のどれが有効なのかは、「悩みのタネが交差するところ」、すなわち、「矛盾マトリクス」(39×39の巨大な表)で特性パラメーター(悩みのタネ)の交差するところを参照することで見つかる。
※矛盾マトリクス、特性パラメーターの詳細については、本書をお読みください。
トリーズの発明原理40(一部)
①分割原理
・「分割原理」とは、その名の通り「分割することにより解決する」という原理で、多くの場面で使われる、発明原理の一番にふさわしいもの。
・空間や時間、絡み合う問題などあらゆる「モノ・コト」が分割の対象になる。
・空間の分割として、
◇弁当箱の中を仕切りで分割(仕切りがない場合、いろいろな味がまざってしまう)
◇住居の分割(壁で分割することで、トイレや寝室などを生活空間から分離し、過ごしやすい環境を構築)
があり、時間の分割として、
◇会議室や公民館の予約
◇温泉旅館の大浴場(時間によって男女入れ替え)
が取り上げられている。
・分割原理の連想語として、「分ける」だけでなく、「場合分け・小分け・要素分け・区切り・スケジューリング・粉末にする」などが挙げられている。
※さらに、分割原理を掘り下げると、ある工夫(サブ原理)も生まれてくるが、詳細は本書をお読みください。
・本書では、「入門!TRIZの発明原理」「40の発明原理」「発明原理実践編」という3部構成となっており、40の発明原理は「構想系・技巧系・物質系」という3つのセクションに分けられ、さらにそこから9つのグループ(分ける・合わせ・事前に、など)に分けて40の発明原理が紹介された内容となっている。
発明原理はさまざまな連想語と具体例、イラストを通じてわかりやすく紹介されている。また、どの発明原理が、どのシチュエーションに当てはまるかについても索引を引けば一発でわかるようになっている。
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