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荻原昴彦「はじめてのUXデザイン図鑑」

・本書は、一部上場のIT企業で、複数の0→1の新規事業開発を、事業責任者兼UXデザイナーとしてリードし、現在は、幅広い業界の企業に向けて、UXデザインや新規事業開発の伴奏支援、組織開発の支援に携わっている著者が、UXデザインを導入方法ならびにその活用法を事例を通じて紹介した1冊。

・UXデザインとは、「(顧客をはじめとした)誰かの体験を設計すること」である。
・もともとはPCやスマートフォンのアプリなどのサービスで使われることが多かったが、現在はそういった分野にとどまらず、自動車メーカー、家電メーカー、不動産、観光業など幅広い業界に広まっている。
・理由はいろいろとあるが、本書では大事なものとして、
①DX
②モノからコトへ
③サブスク(サブスクリプション)化
が挙げられている。
※詳細は本書をお読みください。

UXデザインを活用した事例(一部)

①新型SNS"BeReal"
・BeRealは、Z世代に支持されて、リリース後、短期間のうちに1500万ユーザーを突破したSNS。
・今までのSNSの違いは、強制的に「現実を脚色して盛る」ことができないようにしている点である。そのため、「映えないSNS」と言われている。
・BeRealは、友だちとつながって、写真を投稿したり、友だちの投稿した写真を見たりというところはInstagramなどと似ているが、BeRealは、1日1回ランダムなタイミングで通知が来て、その通知から「2分以内に写真を撮影して投稿しないといけない」のだ。
・結果として、盛る時間がないので、強制的に日常の自然な様子が投稿される。まさにBeReal(実際の自分を見せて)というわけなのだ。
・これは「言い訳の提供」の活用である。いきなり通知が来て2分以内に投稿を強制されるわけだから、本当は見たいなと思っていた相手の「もっとリアルな日常」を見ることができるのだ。
・アプリ側が、仕組みとして言い訳を提供することで、放っておいたら生まれなかった体験をBeRealが実現したのだ。

②ファンコミュニティ"Fanicon(ファニコン)"
・Faniconは、アーティストやインフルエンサーが、月額会員制のファンコミュニティを運営するのをサポートするアプリのサービスで、「ファン同士のやりとりの主軸化」と、「新人ケアの複線化」で所属感を丁寧に構築している。
・Faniconは、ファンクラブではなく、ファンコミュニティとして、ファン同士のコミュニケーションを、サブではなくメインに据えて設計している。そのことによって、インフルエンサーの発信する情報を一方的に消費するというコンテンツ性が高いサービスから、コンテンツをネタにしながらもファン同士が双方向にコミュニケーションをとることがメインになるコミュニティ性が高いサービスになり、所属感が醸成されやすくなる。

③どこでも住み放題"ADDress(アドレス)"
・ADDressは、住まいの定額使い放題サービスで、日本各地のさまざまな空き家に月額4.4万円でどこでも住むことができるようになるもの。
・Wi-Fiや家電家具など生活や仕事に必要なものは完備されていて、初期費用や光熱費はすべて込みである。また、ただの空き家ではなく、「家守(やもり)」と呼ばれるコミュニティマネージャーが近くにいて、地域の方とつないでくれたり、暮らしをサポートしてくれたりする。
・ADDressは、サービスをつかさどる「家守」(コミュニティマネージャー)に対して安全などの最低限のこと以外はルールをあえて定めていないが、この隙があることがプラスに働くことが多いそう。
※①は「言い訳の提供」、②は「所属感アシスト」「貢献の余白」という体験エッセンスから取り上げられている。詳細は本書をお読みください。

・本書では、「UXデザインの概要ならびに作り方」「22の体験エッセンス(ハードル下げ・自分で決めない・失敗OKなど)とUXを活用した60の事例(社長のおごり自販機・スプラトゥーン・体重を見せない体重計"スマートバスマット"など)」「UXデザインの活用方法」という3部構成で構成されており、商品作り、販売の現場、アプリ作成など、あらゆる場面でUXデザインをどのように導入ならびに活用するかのヒントになることが書かれた作品となっている。

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