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シャスタ山で見つけた新しい人生〜ラベンダー畑への旅〜

アメリカ、カリフォルニア州北部にシャスタ山という山がある。

いわゆるパワースポットと呼ばれているその山の周辺は、そういうエネルギーを感じない人であっても、何かホッとするような安心感に包まれる場所だと私は思う。

シャスタ山に行く予定はなかった。
シャスタという言葉すら、当時の私は知らなかった。

友人とオレゴン州へ旅行に行く予定だったのだが、いろいろあり予定変更を余儀なくされた。
その時、友人が「シャスタ山はどう?」と提案してきた。私は行ったことがない場所は、行ってみたいという安易な考えで、OKした。
のちにこの旅が私をアメリカへと移住させ、ラベンダー農家になる道へと導くとは、その時はまったく知る由もなかった。

7月初旬、サンフランシスコ国際空港に降り立ち、久しぶりのアメリカの匂いにわくわくしながら、レンタカーの手続きをし、時差で眠い目をこすりながら、空港を出発した。
目指すは、シャスタ山。
地図で見るとサンフランシスコ国際空港から、シャスタ山までは、そんなに遠くなさそうなのに、実は、450km以上離れている。(東京から京都くらいかな)
時間にするとだいたい5時間くらいのドライブ。
途中、ひまわり畑やオーリーブ畑が道の両脇に広がり、地平線まで見えて、大陸の広さを実感。

途中で見えてくるシャスタ山

シャスタに近づくと、徐々に山が見えてくる。
夏でも雪が頂に残っていて、美しく涼しげで、その姿にうっとりしながら、運転していた。
シャスタについたのは、夕方だった。
シャスタ山周辺の香りは、独特で、芳香浴をしているかのように気分が良くなる。

シャスタ山

それからシャスタ山の麓で三泊過ごした。

不思議だったのは、体がものすごく軽くなったこと。
時差ぼけを感じなかったこと。
ほとんど食べなかったけれど、とても元気だったこと。
どこへ行っても、体がいつも以上によく動いたこと。

2日目の朝、早起きしてシャスタ山の見えるところへと行き、壮大な山を見つめながら、半分瞑想状態でいたところ、フーッと光りが体に入ったような感じがした。

山が見えていないけれど、シャスタ山を見ながら朝日を浴びているところ

そして、その日はシャスタ山の麓にあるラベンダー畑へを訪れた。
折しも、ラベンダーシーズン真っ最中。
真正面にシャスタ山、そして美しく広がる紫色のラベンダー畑。
まるで、ラベンダーの時期に合わせて、ここに訪れたのではないかと錯覚するほど…
ラベンダー畑がシャスタ山の麓にあることを知ったのは、シャスタ山に着いてから… なのに、この完璧なタイミング!
シャスタが放つスパイシーな木の香りとラベンダーが放つ甘くスッキリとした香りが、いい具合にブレンドされて、まるで異世界にいるようだった。

マウント・シャスタ・ラベンダーファーム(現在は閉鎖されている)

今までたくさんのラベンダー畑を訪れたけれど、この「マウントシャスタ・ラベンダーファーム」が、一番好き。

もう一つ残念で、不思議なことは、私たちが訪れた2014年が一般公開最後の年だったのです。
今は、閉鎖してしまったようで、残念でならない。
時期が外れていても、あの美しい光景は見られなかっただろうし、一年行く時期が遅かったら完全に見られなかった。
すべてが完璧で、あの美しいシャスタ山とラベンダーの景色を私に見せるためにこの旅へと導かれたのではないかと思うほどだ。

最後の日、楽しくて快適なシャスタ山から遠ざかれば遠ざかるほどに、体が重く感じ、眠気もやってきた。
本当は、サンフランシスコの街を観光しようと計画を立てていたのに、あまりの体の重さ=疲れで、サンフランシスコ観光は飛ばすことにしたほど…

帰国後、私の食生活が大きく変化した。
それによって、人生を見直すことになった。

この先の人生をどこで、誰と、どんな風に暮らしたいか、数日間に渡って書き出した。

それまでの人生も幸せだった。
でも、もっともっと心がここだ!と思う場所に暮らし、もっともっと人生を楽しみたいと思ったからだ。

私はシャスタ山に魅了されていたので、シャスタ山のそばに暮らしたいと思った。
しかし、東京で生まれ育ち、ずっと東京で生きてきた私にとって、シャスタ山周辺は、かなりの挑戦になるなと感じていた。
そして、地図を広げ、サンフランシスコとシャスタ山の間の町の中から、田舎だけれど、スーパーがあり、日用品なども買うのに困らない場所をチェックしていった。

そして当時独身だった私は、同じような食生活、生活スタイル、そして似たような価値観の人と楽しく死ぬまで暮らせたら素敵だなと想像した。

それから2年後、サンフランシスコとシャスタ山の間の田舎町に暮らしている夫にハワイで出会い、翌年、結婚した。
夫は、私と同じ食生活に似たような生活スタイルだった。
夫と出会うために、食生活が大きく変化したのではないかと思ってしまうほど…

結婚した翌年。
ラベンダーが大好きな私はラベンダーを植えたいと夫に話した。
夫は中途半端が嫌いな人で、植えるからにはと、ラベンダー畑見学に行こうということになり、ちょうどオレゴン州でラベンダーフェスティバルをやっているから見学に行くことになった。
その道中にあるシャスタ山に寄った。夫にとっては初めてのシャスタ。
夫がポツリと言った。
「シャスタがこんないいとことだと知らなかった」と。
私の大好きな場所を愛する人も好きになってくれるって、これほど嬉しいことはない。
そして、オレゴン州へと向かう道中、夫が言った。

ラベンダーを植えるだけでなく、畑を作ろう!

あの時、シャスタに行ってなければ、今も日本で心理カウンセラーをしていたかもしれない。それはそれで素敵な人生だと思うけれど…
夫と出会い、アメリカに移住して、ラベンダー農家になった今思うことは、
あの時、シャスタに行って本当によかった。

あの旅は、私の魂が望むことをクリアにし、その望みを叶えるために必要だった。

ラベンダー畑の中で、朝日を浴びながら作業していると、私の場所を見つけたと感じる。
世界中いろいろな場所を旅したけれど、ついに私の場所を見つけた感じ。
私はここに来るために、ここで生きるために今まで旅をしていたのではないかと思うくらいに。

さぁ、この夏もシャスタ山へ行こうかな。

シャスタ山の五合目


#忘れられない旅

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