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【映観】『ボーはおそれている』(2023)

『ボーはおそれている (Beau Is Afraid)』

監督・脚本・製作: アリ・アスター
出演: ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン

「ミッドサマー」アリ・アスター監督、+「ジョーカー」ホアキン・フェニックス
というだけでも、絶対に観ないといけないヤツ。
そうして長尺179分というコトも知らず、予備知識もなし、ある意味驚愕の3時間でした。
率直に云えば、最初の何をやってもダメダメになってく主人公ボーの可笑しさは好き。
ほらチャップリンの有名な言葉、
"人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。" というのに尽きる。
苦しげな顔のアップなら悲劇であろう、遠くからみたら笑えるんだ。
ある意味、辛く苦しく痛々しいコトが連続すると、笑うしかなくなってくる。
アキ・カウリスマキの映画然り、「自転車泥棒(1948)」は好きな映画だがあのドツボさから脱却するためには、
笑ってガス抜きするしかないわけで、よく考えたら新藤兼人監督にも通ずる。
「裸の島(1960)」や「人間(1962)」なんて究極のコメディなのかもしれない。
そんなふうに前半のブラックな堕ち様は、情けなくて、痛々しくて、悲喜こもごも、それ以上ダメになっていくんだろうか? と、
惹きつけられるのだが、突然突け放すように何やら得体の知れない状況に追い込まれていく。
様子が違ってきて、よく理解できないまま折り返していく。

後半はかなり辛くて、理解できない話を続けて見ていくコトは拷問だ。
まだ続くの?と睡魔が襲ってきて、さらに難解になってしまう。
長尺の映画は嫌いな方ではないが、タル・ベーラ監督「サタンタンゴ(1994)」7時間強は流石に挫折した。(猫が殺されるとこでもう嫌になった)

さてこの映画の種明かし、であるが、ここはやはり町山さんのコレで少しだけ納得できるだろう。

つまりユダヤ教「ヨブ記」を知らないと面白さは半減するのです。
旧約聖書も知らず、無宗教の輩には難解なのも当然ですね。
そういった類いの映画もある、
そうやって宗教を揶揄する映画の多くは理解されないまま、つまらないに陥ってしまったりするのかも知れない。
同じ共通概念が存在しなければ、成立しないのだから。
そうやって面白味を逃してしまった作品は、とても多い、のかも知れない。

でも前評判や予備知識はできるだけ持たないで映画を見ていきたい。
吃驚が好きだから。
因みにこの映画、町山さんの話を聞いてから、2回目にトライしました。
そんな楽しみ方もあり、だと思いました。
イロイロですね。
さ、また吃驚しに出掛けていこうっと。

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