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【映観】『道 (La Strada)』(1954)

『道 (La Strada)』(1954)
監督・脚本: フェデリコ・フェリーニ
出演: アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

ジェルソミーナを白痴と云うな!
と、強く言いたい。
なんか、白痴だの知的障害者だの簡単にすまし顔で評論してるのが散見されるが、僕は決してそうじゃないと思ってる。
ただ純粋で、生き方が上手じゃないだけ。
フェリーニの代表作にして大傑作。
大道芸人の悲哀が余すコトなく描かれる。
しりあがり寿のマンガっかつーくらいの(いや彼が模倣してるんだね)この物悲しさと可笑しさ。
イタリア映画には日本に通ずる侘び寂びがあるんじゃないのか三国同盟。

多くは語るまい。
なにしろあらゆる解釈なり評論なりが溢れかえってるので、その辺りを掘り下げる積もりもない。
素直に、この世界観がフェリーニ。
タイトル「La Strada」そのまま「道」
もうこの時期にそれを冠にしてしまったら、ぐうの音も出ず、そりゃあどんな物語だって「道」でしかないじゃない。


ジェルソミーナ

ジェルソミーナ役ジュリエッタ・マシーナは、フェリーニの奥さん。
どうしたって可愛く撮ってしまいますよね。愛溢れた写真だ。
この白黒作品をカラーで見たらどうなるんだろう。
想像もつかないが、すべてが台無しになってしまうような気もする。
多くは語るまい。

綱渡り芸人イル・マット(狂人)は好きです。ザンパノは厭だ。
何かを象徴するような構成(人間関係)が、自身のどこかしらとリンクし、映画を見終えたあと嗚咽する。
複雑にみえて実はとても単純なんじゃないのか。
でも映画はそれを膨らませ冒険奇談しなきゃね。
サーカス、架空のショー、入場料を支払い、僕らは夢に挫折、スリルに歓喜、人生の模倣をそこに見る。
まるで映画だし、生きていく様じゃないか。
フェリーニの演出は過剰にして絢爛、そうして皮相を剥ぎ取ると骨しか残らず、死へ真っ逆さま。

#一骨画  ジェルソミーナ「道」

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