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【映観】「DOGMAN」(2023)

『DOGMAN ドッグマン』(2023)

監督・脚本: リュック・ベッソン
主演: ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

7月、2番目に良かった映画。
リュック・ベッソン監督だ。
「グラン・ブルー(1988)」が大好きだった。
その当時、何度も何度も見返して、それからほぼドキュメント「アトランティス(1991)」にどっぷり浸かった。
その頃僕は20代前半、海への憧れが強過ぎて、とうとう海水魚の飼育にまで至っていた。
180cmオーバーフロー水槽を特注し、海を部屋に再現しようと躍起になった。
そうしたら監督は、「ニキータ(1990)」「レオン(1994)」と急に方向転回した。
え!? 海はどうなったの、もうどうでもいいの??
もちろん2作とも、美意識全開のカッコいい映画なので、特にジャン・レノを押し上げたとは思う。
彼は"グラン・ブルー"でも異彩を放っていたし、当然そうなることにはなっていた。
しかしその後、ハリウッド化したベッソン監督(およびジャン・レノ)を追う気にはならず放置した。
どうして変なアクション系ばかり撮るのか解せなかったけど、そりゃあ大きなお世話ってもんだ。
そうしたかっただけなんだろうよ、そりゃあそーだ。
大作が多かったので、こういった小粒な作品は久しぶりなんじゃないのか。
ん? 大作、いやこれは犬作です。

イヌてなんか、なんていうんだろ、従順すぎて気持ち悪い。
オオカミが家畜化されイヌというのは、
イノシシがブタになったようなもので、人間の下僕となった。
もちろん彼らが望んでそうなったワケでもないし、愛玩動物では一番可愛いのかも知れない。
ネコなんかより、とても生真面目で、従わせ易い種だろう。
どっちやねん。
別に彼らを非難してるワケじゃないし、なにしろ僕はイヌも大好きだ。
僕らの友達たる種は、イヌ科である。
家畜とは呼んでほしくない。
「マッドマックス2」のドッグ、「河童のクゥと夏休み」のイヌ、
極め付けは、イヌのために暴れまくる「ジョン・ウィック」でトドメだろう。
とにかく主人公が気を許す相手はイヌである。
頑なにヒトとの干渉を避けた場合、気を許す相手はだいたい植物かイヌに落ち着くんだ。(断言)
「ぼくの犬クロ」という本を小学生の頃読んで、号泣した。(思ひ出)
イヌを迫害するヤツは、同じような目に合わせ、殺さず生煮のまま生涯苦しみ続けるがいい。(呪詛)

さて本編、コーエン兄弟「ノーカントリー(2007)」デビュー、「ゲット・アウト(2017)」
最近では『ニトラム/NITRAM(2021)』と少し変種を演じるケイレブさん主演。
大人になってからの語りでスタートするところは、実話なのかと思わせる。
父親と兄から虐待を受け、イヌ小屋に監禁されるという異常事態の少年期、
ステージで女装姿でシャンソンを歌い生計を立てるが、その裏で、イヌ帝国を築く。
イヌたちが自主的に彼を王様にしているかのような従順ぶりが、尋常ではない。
大雑把にいえば、そういったイヌ推し映画。
たくさんの犬が出てくるので、「101匹わんちゃん」ダークサイドだ。
奇妙な感覚を楽しむ系で、なんなんだこいつという違和感を少年期まで遡って、開示していく。

トム・ハーディ主演『ブロンソン』
そこにホアキン・フェニックス「ジョーカー」を混ぜた感じなのかな。

宗教的な終わり方が少し意味不明だった。
ベッソン監督、きっと深い意味があるに違いないが、浅はかな僕には思慮が足りないようです。

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