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二人語らえば実りあるところ

真ん中の子供が4ヶ月の時、なにかに取り憑かれたかのように起業準備をした。起業して20年目を迎えた。英語教室と輸入ベビー服や玩具、インテリアの卸売、小売店からのスタートだった。

3人の子育てをしながら店をやり続けた日々は、まさに終わりのみえないジェットコースター。過酷な日々も沢山あったけれど、自分たちのやりたいようにお店をしたことで、家族の喜怒哀楽を巻き込んだすべての日々が楽しく、多くの人々とも出会い多くの対話をした。何よりもそれが今の私達の柱になっている。

イチローでも打率3割!と何度も自分を奮い立たせながら、バッターボックスに立ってきた。素晴らしい日々の合間に、リーマンショックがあって、コロナがあって、母をなくし、今回地震の恐ろしさも経験した。その都度心も自分の足元も大きく揺らいだ。社会で起きる事件も自然災害も、会社の問題のあれこれも容赦なく起きるものだ。でも、対話があれば人は乗り越える。

自分一人では何もできないと人は頭でわかっているわりに、頭の中だけで生きているせいで、自分はひとり、自分一人でしかできないと思い込んでいたりする。ひとがいて成り立っていることを身を持って知っていればこそ、幸せがやってくる。対話はいのち。

というわけで、昨年対話によって支えられた日々への感謝を込めて、20年目に対話する場作りを柱とした”一果二花(いっかにっか)をオープンした。会社の遊休スペース&時間を利用して。

コーヒーカップとか、お皿とか、メニューとか…目に「見えるもの」はひととひととのつながりをさらに楽しくするその周辺にあるもので、メインは、ひととひとの会話とか、人と町との関わり方とか、時間とか、歴史的街並みに流れる空気感とか、香りとか、好奇心とか、信頼とか…目に「見えないもの」こそが、この場では花開いて欲しいと思っている。

打率は上がるだろうか。下がるだろうか。
結局どれでも結果論。商売というものはそういうもの。何があっても飛び込みたい衝動で始まって、乗り切る覚悟と瞬発的な集中力が、経験とひとに鍛えられ支えられていく。子育ても同じかも。

それ以外の時間は、”一果二花(いっかにっか)でまぁいっか!”の精神で繋いでなんとかなる。

同じ母でもあり店主でもある友人が、店の名前で遊んで作ってくれた言葉だ。

icca nicca

photo by Nik van der Giesen

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