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「富裕層の開拓方法とは?」 野村元トップ営業マンが答える!vol.4


質問者(以下、Bさん)

以下、お答えいただけますと幸いです。宜しくお願い致します!

富裕層顧客の営業に関して

(4)富裕層顧客の新規開拓をされるにあたっての探し方
(5)アポイントの方法(アポイントが断れそうな場合,断れれた場合の交渉も)
(6)訪問時の会話,交渉
(7)クロージングの方法,交渉
(8)アフターフォロー
(9)契約満了で次の商品にスイッチング,運用額の追加依頼をお願いしたい場合


野村マン(以下、野村)

(4)富裕層顧客の新規開拓をされるにあたっての探し方

まず前提として、トップセールスマンを目指す人間として、狙うべき属性は圧倒的に「中堅企業オーナー」であると考えています。理由は、数億円単位での株式・債券・投信売買を平気でできる人は、やはり10億円以上の現預金(個人にしろ法人にしろ)がある人間になります。不動産ではなく、現金や上場株式などで10億円以上の資産です。
お金持ちは他にも、地主、医者、退職者などがいると思いますが、「10億円以上の現預金」をもつとなると、やはり確率としては中堅企業オーナーが一番高いです。「オーナー」とはつまり、雇われ社長ではなく、自らが創業していたり、親が創業していたりなど、自社株を70%〜80%くらい保有している人間です。
逆に、サラリーマン、一般主婦、雇われ社長(創業一族ではないCEO)は例え資産運用に関心があったとしても、こちらの美味しいビジネスにはなりませんので、関わらないようにしていました。

富裕層顧客の探し方(新規開拓)
一つ目(王道)⇨自分の営業エリアの中堅企業(売上1億円〜100億円程度まで)のリストを1件1件帝国データバンクや、商工データなどで検索していきます。そのなかで、「純資産が厚い」「オーナーの株式保有率が高い」「利益額が高い」「創業年が1990年以前である」などの特徴がある企業を全て洗い出し、丁寧に営業をしていきます。
⇨営業マンなら誰でもやっている方法ですので、「お宝」を探し出せる可能性は低いです。ただ最低限やっておくべき方法です。

2つ目(時間はかかるが一番成功する)⇨自分の営業エリアを自転車でまわり、「お金がありそうな企業」をメモしていきます。私の観点で「お金がありそうな企業」とは、第一に建物が清潔であること。第二に静かな感じがすること(目立とうとはしていない)、第三に受付の社員の印象が良いこと。お金に余裕がある会社の社員の方は、営業マンを邪険に扱わずに丁寧に応対してくれるところが多いように思います。あとは、特に理由がなくとも、op4様の観点で「ここの社長を開拓したい」という熱くなれるような企業をリストアップしていきます。その後、帝国データバンク、商工データなどで企業の内部情報を調べ、本当にお金がありそうだとわかったら、オーナーに営業をしかけていきます。
⇨意外と足を使って調べていく方法は、まわりの人間はサボっていたりするので、穴場だったりします。社長に偶然会うことができたり、良いことがたまに起こります。ただ効率は悪いので、毎日こればかりするわけにはいきません。

3つ目(変化球)⇨自分の営業エリアの企業リストをエクセルで「賃貸業」「不動産賃貸業」などで絞って検索をかけます。そのなかで、「創業年が1980年以前」「利益額が数千万円以上」「売上高が記載なし」などの企業をリストアップしていきます。これらの特徴がある企業は、過去数十年間にわたり、不動産の賃貸収入のみで生計を立てており、数億から数十億円もの内部留保を溜め込んでいる可能性が高いです。後にも述べますが、一見何でもない見た目の零細企業が実は10億円以上の株式を保有していた例が実際にありました。
⇨私が野村に在籍していた当時、本社の営業サポート部が、全国の支店で現預金5億円以上の超富裕層の新規開拓事例の共通点を探した結果、上記のような要素があることがわかり、私達にも情報共有してくれました。私は上記の特徴を元に、ある零細企業を探し出し、そこが実際に株式を10億円以上保有していることがわかり、そのうちの7億円を野村に株式移管してもらいました(これで同期間で入金額が年間1位になりました。)

以上が基本的な探し方にはなりますが、実際に新規の超富裕層を見つけるのは非常に難しかったのが、正直な感想です。理由は、ほとんどが先輩社員の既得意顧客であったこと。つまりすでに野村に口座があるので、若手が営業することは許されません。「ここは良さそうだな」と思う企業も、調べてみると野村に既に口座がある、というパターンがほとんどでした。だからこそ、まだ誰にも手をつけられていない優良企業を発見できたときは、「お宝」を見つけたような感覚で、必死に営業しました。

以下、私の大手顧客になっていただいた3件との出会いはどうだったのかを述べます。

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