#30【服コラム】17着だけあれば1年間違う服装が可能、は本当なのか

 ことの発端はこんなツイートだ。

 数値上たしかに間違いはないが、いやいやそんなわけなかろう、というのが感覚的なところである。ではもう少し細かく計算すると、何着の服が必要なのか考えてみたい。

季節の問題

 上記のツイートでは、帽子が1つのアイテムとして示されているが、年がら年中帽子を被っている人は少ないと思うのでまずは帽子を省くとアウター、インナー、パンツ、靴の4つの項目になる。
 そして、アウターを着れる季節というのは限られてくることも頭の片隅に置いておく必要がある。
 逆に、ジャケットだけでは寒い時期があるということも勘定に入れよう。そうなると計算が変わってくることになる。そのため、この記事では春夏秋冬4つの季節、それぞれ3ヶ月に分けて考えることとする。

①春

 まずは春だ。ここでは、春に必要な衣服を、アウター、インナー、パンツ、靴の4つであると仮定したい。そうなると単純な計算として1ヶ月30日としたとき、90通りの着こなしが必要となる。そう考えると、アウター3着、インナー4着、パンツ4着、靴2足があれば合計13のアイテムで96通りのスタイリングがこなせる、というわけだ。

②夏

 夏にアウターを着るというのは現実的とは言えないため、インナー、パンツ、靴の3つの項目で考えることとなる。先程と同じように90通りのスタイリングが必要だとして、インナー5着、パンツ5着、靴4足で100通りのスタイリングが作れる。それぞれ春と同じアイテムも使うと考えると必要となるのはインナーが+1着、パンツが+1着、靴が+2足で、春夏合わせて合計17のアイテムが必要となる。

③秋

 秋は基本的に春と同じような気温・気候であると考える。夏までで揃ったアイテムはアウター3着、インナー5着、パンツ5着、靴4足の合計17のアイテムだ。それらの組み合わせを使うとなると300通りのスタイリングが可能であるため春の分の90通りを差し引いても、春とは全く違うスタイリングが可能であり、ここでさらにアイテムを追加する必要はないだろう。

④冬

 冬に必要なものはコートだ。しかしよく考えると、中に着るものが既に春と秋で必要である90×2=180通りを超え、さらに1シーズン(90日)分をも超えた300通りのスタイリングができる分量があるため、それらの組み合わせだけで1年を通して違う服装ができてしまうわけだ。
 となると寒さを考慮して必要なコート1着をプラスした18着で1年間違う服装で乗り切れるということになる。

結論

 件のツイートはほぼ間違っていなかった。
 確かに季節やら何やらということを考えれば帽子3つ、ジャケット4着、インナー3着、パンツ4着、靴3足というチョイスでは乗り越えられないが、合計着数としてはほぼ違わないという結果になった。
 しかし考えねばならないのは、人の印象と数値上の結果はまったく別のものであるということだ。例えば、中に着ているものが違ったとしても、冬中毎日同じコートを着ている人の印象は「毎日同じものを着ている人」になってしまうわけだ。そう考えればコートだっていくつか必要になってくるだろう。
 ここで示された数値は単に違う組み合わせを1年間着ることができるというだけであって、見る人が受ける印象はまた別物と考える方が身のためなのかもしれない。

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