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#21 【服コラム】秋だ!上着だ!Barbour特集

扱いづらい服No.1

 ワックスジャケットのパイオニアであり、その唯一無二性から高い人気を誇るバブアーだが、その扱いづらさも唯一無二だ。漁師たちのために生地に防水性を持たせる方法としてたっぷりとワックスを含ませたことから始まったのがバブアーだが、そのワックスこそが扱いづらさの根源である。近年の製品はワックスが改良され匂いはほとんどしなくなったが、2000年代くらいまでの古着であればその経年変化も伴って独特の匂いを放っている。また、その油分と内部の湿気の溜まりやすさなどを考慮するとカビなどの心配もしなければならない。他にも他の服にワックス分が移らないようにカバーをかける必要があるなどとにかく世話を焼く必要がある服なのだ。
 だが、それでこそバブアーである。ファッションアイテムではなくアウトドアのための服として乗馬や釣り、ハンティングといった様々な目的に応じて作られたワックスジャケットの持つ機能美こそがバブアーの良さと言えるだろう。

筆者愛用のビューフォート

良いものを長く着るということ

 良いものを長く着るという文化が根付く英国を故郷に持つバブアーは、その古き良き英国の価値観を体現する王室にも愛され、特にチャールズ国王は長年バブアーのワックスジャケットを修理しながら着続けている。エコや持続可能といった言葉が流行する遥か昔からそういった価値観に沿う製品を作ってきたバブアーを含むクラシックなブランドは今後益々見直されるべきであろう。ファッション=流行に左右されず良いものを見極め、身につけ続けることこそ本当の豊かさと呼べるのだ。たしかにバブアーのワックスジャケットはそれなりの値段のするものである。しかし確実に言えるのはバブアーのワックスジャケットは一生を共にできる製品であるということだ。そういった意味でコストパフォーマンスにも優れていると言えるだろう。

モデル紹介

ビデイル

 バブアーで最も有名なモデルは乗馬用に作られたビデイルというモデルだろう。馬に跨る姿勢に配慮したスリットが付いているのが特徴だ

ビューフォート

 ビデイルに次いで有名なモデルがビューフォート。ハンティング用のジャケットであり、基本的なデザインはビデイルと同じだが若干着丈が長く、ビデイルではスリットが配置されている場所に狩った獲物を入れるゲームポケットがついているのが特徴だ。

スペイ

 フィッシング用に作られたスペイは下半身を水に浸かった状態を想定し着丈が短く作られており、釣り道具を引っ掛けておくためのリングが付いているのが特徴だ。

ボーダー

 今回紹介する中で最も着丈の長いボーダーはジャケットというよりコートとしても着れるもので、様々なアウトドアシーンで膝まで雨を凌ぐことのできるものとなっている。

さいごに

 ワックスジャケットという製品は時代遅れの技術をつかったものかもしれない。しかしその手間がかかるようなものこそ愛着が湧くというのが人の常であろう。ワックスの匂いや手触りも含め、長く愛することのできるバブアーのワックスジャケット、是非一度手にとっていただきたい。

筆者:吉本伊吹
画像出典

https://www.japan.barbour.com/

https://www.beams.co.jp/

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