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悪戯好きなカボチャ頭の子供へ捧ぐペンダント

【旅する飾り屋の話 ―Sweet or Accesory?―】

月星が不気味に光るある夜、飾り屋とトランクは夜道を足早に歩いていた。

≪ネエネエ、オカシチョウダイ?≫
突然の声に驚いて飾り屋たちが後ろを振り返ると
フードを深く被った小さな子供が立っていた。
ごめんよ、お菓子は持ってないんだ。と飾り屋が伝えると
子供はクスクスと笑ってこう言った。
≪ジャア、イタズラシテイイヨネ?≫
その瞬間、子供は飾り屋の手からトランクを盗むと空に飛び上がった。
そこにはフードが取れてニヤリと笑うカボチャ頭があった。
≪オカシヲクレナキャ、コウシテヤルー!アハハ!≫
カボチャ頭の子供は楽しげにトランクをブンブンと回し始めた。
『うわああああ、やめてえええ!』
トランクの悲痛な叫びを聞いて慌てて飾り屋は
お菓子はないけど、君にぴったりな飾りをあげるから!
と三日月にカボチャ頭をあしらった飾りを見せた。
≪…!?スゴクカワイイ!ワタシニピッタリ!!≫
子供はトランクを放り出し、飾りに飛びついた。
『うおわあああ!』
放り出されたトランクを飾り屋は滑り込んで捕まえた。
ボロボロな2人など気にせず子供は飾りをつけ上機嫌そうだった。
≪ウワー、カワイイー!アリガトー!
ミンナニミセテクルネ!バイバーイ!≫
そう言うとカボチャ頭の子供は笑いながら暗闇に溶けていった。

『……あの子が女の子で本当に良かった。』
飾り屋とトランクはボロボロになりながら心の底からそう思った。

そんな旅する飾り屋とトランクの話。


minne


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