無駄毛と無駄じゃない毛

先日除毛をした。脱毛サロンに通うような金もなく、『うわ、この人やたらと美意識高いな…、つーか気にするところもっとあんだろ…』などと思われたくない僕は通販で除毛クリームを買い、使った。

I、Oラインの毛を除去したかった、いや、肛門周りと肛門から金玉にかけての毛を除去したかった。

使ってみると効果はてきめんで除毛クリームを塗った個所の毛は確実に生気を失っており、ふき取るとツルツルの地肌が見えた。ここで一つ問題が発覚した。僕が取り除きたかったのは肛門とその周辺の毛のみだったのだが、クリームをピンポイントで塗れるはずもなく、尻の内側の毛まで巻き込んでしまった。鏡を見ると見事に尻の内側まで毛が除去されてしまっている、これではおかしい。
尻など他人に見せる機会など銭湯くらいしかないが恥ずかしくなり、次の日尻全体に除毛クリームを塗った。
見事に尻の毛はなくなっていたが今度は太ももの毛が気になってきた、そしてまた次の日太ももの毛を除毛した。
そして、例によって例のごとくすね毛が気になって除去したくなったが、すね毛は問題がある。
短パンを履いた時人に見られる……。『うわ、この人美意識たか、、、』そんなことを思われたくなく、脱毛サロンに行かなかったのにこのままツルツルのすねで短パンを履いてみろ、サロンに行っていたのなら施術関係の人にのみ思われるだけで済むが、会う人会う人に『え？あの人すね毛剃ってんの』なんて思われてしまう。それは困る、困った。

僕はツルツルの太ももとザワザワのすねを見て困り果てた。

実は除毛したのは初めてではなく、数年前ベストボディジャパンという大会に出たく全身の毛を剃ったことがある。ただ、今回は大きく意味が違う。
前は自分の体を良く見るため、見せるため、表現するためだったが、今回はただの見栄だ、女性との機会がある時汚く見えないでためだ。なんなんだこのいつ来るかわからない事への入念な準備は、童貞か？
中学や高校の時「いや～、いざって時困るじゃん？」と財布にコンドームを入れていた時があったが、なんなんだそのいざって時は、仮に来たとしても財布に入れてあるコンドームを使うしかないほどテンパっているのか？ならやめた方がいい、どうせ裏表で『ん？あれ？』ってなるだろうし、早々に果てることが目に見えている、大体１個じゃ足りない、それくらいは当時の自分が一番よく知っているだろう。

そんな虚しさを覚えてしまい中途半端にすね毛が残っている。

ただ、一番むなしいのは対象部位ではないのに除去されていった尻毛ともも毛だろう。

あぁ、神よ聞いてくれ、この一人の男子の悲痛な悩みを。ぴえん。