見出し画像

仕事に子育てに忙しい女性が食器で心を満たしてショップをオープンさせた話

 紅茶を飲みながら、自分と対話する時間……。
 目の前に自然と自分の中の景色が広がります。

 「3年後にどんな未来を実現していたいですか」との問いに思いを巡らせていました。
 
 私の答えは、場所や時間に捉われずに自分の仕事を持ち、家族との時間を大切にしたい。
 
 叶わないと思い込んでいたけれど、浮かんでくる
 家族の笑顔。
 優雅にティータイムを楽しむ姿。
 旅行を楽しむ風景。

 わくわくするような景色に、心がほわっと温かくなる感覚を感じます。
 お気に入りのティーセットで過ごすひとときは、日常をリセットする大切な時間。

 しかし、以前はこんな余裕のある生活にはほど遠い、フルタイム勤務の二児の母でした。


先の見えない不安

忙しすぎる日々


 「ピピピピッ、ピピピピッ……」目覚まし時計の音を夢見心地で聞きながら放置。何度目かのスヌーズ機能でようやく慌てて起きる毎日を送っていました。

 「あぁ、また寝落ちしてキッチンの片付けも洗濯も出来ていない」
散らかった部屋を横目に朝の支度を始めます。
子どもに「早く」「急いで」という言葉を何度言うのか分からないほど、常に時間に追われていました。

 「今日は間に合わないかも」
そう思いながら、朝7:30に開園する保育園に一番で子どもを預けて、駅まで走ります。
地下鉄がホームに入ってくる音に焦り、駅に響き渡るパンプスの音。
電車にギリギリ飛び乗れるとホッと安堵します。

 そして、子どもと共に帰宅するのは20時。夕食と入浴で精一杯で他は何も出来ませんでした。

 こんな生活いつまで続くのだろうか。仕事は好きなのに……。

移住と退職を決意


 『緊急事態宣言』
コロナの流行で色々なことが制限される中、遠くに住む高齢の義両親に会いにも行けなくなってしまいました。夫が義父と電話で何やら言い合う姿もあり、「そろそろ郷里に帰ろうか」と迷いもなく夫に提案していた私がいました。

 長女が小学校入学、長男が幼稚園入園になるちょうど良い時期に移住を決め、長年働いた職場の退職も決意したのです。

 そんなときに、たまたま行った美術館でアンティークのカップとの出会いがこれからの人生を変えるきっかけになります。

アンティーク食器の魅力

運命の出会い


 通りかかった美術展でイギリスの陶磁器 ロイヤルウースターのアンティークに出会い、美しさに魅了されてしばらくその場から動けませんでした。

「世界にはこんなにも美しいものがあるのか」

 食器の魅力をもっと知りたいと思うようになり、イギリスの陶磁器を中心に調べて、知れば知るほど奥の深い食器の世界にどんどん引き込まれていきました。

 お気に入りの食器を眺めて過ごす穏やかな時間
 大好きな食器で癒されるティータイム
が、忙しい中で自分の心に潤いを与えてリセットする大切な時間になっていました。


魅力1.大切な時間


 その日の使いたい食器、おやつ、飲み物を季節や気分で直感で選んでティータイムを過ごしてみる。そんな丁寧で豊かな時間が、心を整えるルーティンになっていきました。一人で過ごす時間から子どもとの会話が弾む貴重なひとときも、やっぱりお気に入りのカップがあるだけで気分が高まるのです。

子どもには、大人とお揃いのティーカップに牛乳等の好きな飲み物を入れて……
一緒の時間を過ごす。子どもの本音が聞けたり、悩みを打ち明けてくれたり、親子で心通う大切な時間がそこにありました。

魅力2.世界に一つだけ


 「アンティークの魅力って何?」
 アンティークは100年以上経過した作品であり、時代を旅してきたドラマを感じずにはいられません。

 200年以上前の食器に出会うことがあります。どれだけのティータイムを過ごしてきたのでしょう。たくさんのお部屋やテーブルに彩りを添えてきたに違いありません。
 
 今まで大切に使われてきた証のキズも、スレも……唯一無二の味わいがあり、新しい品にはない魅力が詰まっていると感じています。

魅力3.大切に受け継がれる


 長い年月の中で、人から人へと受け継がれ、その途中で割れてしまうこともあります。
カップとソーサーが別々の組み合わせになった出会いもあり、どんな物語があってそのような組み合わせになったのかを想像することもまた楽しいのです。
 
たとえ組み合わせが違っても、ヒビや欠けもない美しい状態で今愛でられる奇跡。これから先も長く長く時代を旅していけるよう大切にしていきたいと思っています。

食器と歩む新たな人生

ショップへの想い


 移住後、自分には無理と心にしまい込んでいた、自分のお店を持ちたいという夢を実現してみたいと思うようになり、起業を決意しました。
 
 私を食器の世界に誘ってくれたロイヤルウースター。たくさんの人にその魅力を届けていきたいと思い、2021年12月21日『ロイヤルウースター専門店ibis』オンラインショップをオープンしました。

250年以上続いたロイヤルウースターの歴史を支えてきた確かな品質の食器たちは、今もなお世界中の人たちに愛され続けており、大切に受け継がれてきたものばかりです。

 繊細な手仕事、王室に愛される気品、心ときめくデザインなど、魅力にあふれています。
『丁寧なくらしに寄り添う高品質なロイヤルウースターをお届けしたい』
 私が繋いだご縁で、幸せな時間を増やすことが出来たら嬉しく思います。


日常をリセットする食器


 使うたびに心をキュンキュンさせてくれる食器たち。
 忙しい毎日に彩りを与えて、心を豊かにしてくれました。そして、ロイヤルウースターの食器たちの持つパワーにたくさんの頑張る元気をもらいました。

 常に何かに追われている生活から、食器を通じて心のゆとりが生まれ、ティータイムを楽しむ時間を作れるようになりました。
新たな1歩を踏み出せたのも、いつもお気に入りの食器がご機嫌にしてくれたからです。

 仕事、家事や育児に毎日忙しい大人の女性。つい、自分を大切にする時間を忘れてしまいがちです。
忙しい時こそお気に入りの食器で一息ついてみませんか。

 心を癒し、ちょっとだけ前に進む勇気をくれて、頑張る夢を応援してくれる。みなさまにもそんな大切な食器との一期一会の出会いがあるよう願っています。

いいなと思ったら応援しよう!