社会が人間に適合するには

今回の記事は以前書いた記事との関連が深いので、先にその記事を読んでいただいてから読んでみてください。
以前書いた記事の続きのような内容になります。

最近、自分をねじ曲げて社会に適合しようと苦しむ人たちの姿を見て一つ考えたくなった事があります。
そもそも社会とは誰が作ったものであるか？という事です。

言うまでもなく社会を作ったのは人間です。
ところが人間が作った社会であるにも関わらず、何故か人間側が適合できずに苦しんでいるというのはなんともおかしな話でこれでは本末転倒ではないでしょうか。
まるでAI(人工知能)を生み出した人間がAIに支配されているような状態です。

社会という機能の何が恐ろしいかと言うと、規模が大きければ大きいほど勝手に回っていくという事です。
個人が社会に影響を与えようにも巨大化した社会においては高い地位や権力を手にした者ですら大きな変化は起こせないのです。
この現象は社会の自動化とでも呼べるのかもしれません。

正確には社会に囚われている側の体感としては社会が自動化しているという話です。
AIなどを活用して効率良く回して利益を得るというような本当の意味での自動化ではなく、社会をコントロールする側との関わりが感じられないという意味で自動で回っているような体感になるという事です。
これを体感的自動化社会とでも呼びましょう。

電車で例えるのであれば、操縦席が全く見えず、誰が操縦しているかも分からず誰かが操縦しているようで実のところは操縦席に誰も座っていない状態です。
無人でいつまでも走り続ける車両をレールの分岐点の操作のみで動かしているような状態と言えるでしょう。
つまりレールの中での選択肢でしか動けない不自由な構造に固着しているという事です。

社会を自動化する上では大衆には一定以上の思考は停止してもらった方が都合が良いです。
ただ言われた事をこなしてアイデンティティを失っていてくれた方が秩序を保つ上では良いというような状態でしょう。
そしてそれが進行してきている事がこの腐り切ったレール制度(クソ社会)という動かしようもない状態を作り出している元凶ではないでしょうか。

レール制度においては一部の既得権益者以外にとってはどこの駅に到着しても地獄です。
どういう選択をしたところで地獄という事が確定している社会です。
このような腐敗しきった社会で人間が自尊心を保ってまともに生きられるはずはないのです。

では、このレール制度から脱却する上で何が必要でしょうか。
まず第一にこのレール制度に気づいてその構造に疑問を持つことが必要不可欠です。

これにはある種の絶望感が伴います。
自分を含む多くの大衆が自分の意思を持っているようで実のところはレールの上でせいぜい分岐点の切り替えをする程度の生き方しかできていないという現実に向き合う事は痛みを伴うでしょう。

この現実に気づいた上で個人としてできる事としてはまず何とかしてこの無人の電車から降りて、自分で歩くなり自動車に乗って運転するなりして自分で行く先を決める時間を増やす事にあります。
一切社会と関わらないという事は不可能なので、まずはレール制度に囚われずに済む時間や場所を少しずつからでも設ける事が必要です。

社会というレールを抜きにした人と人とのより原始的なコミュニケーションを大切にし、そしてそのような輪の中で周りの人達を巻き込んでいくのが理想的でしょう。
腐った社会のレールに拘らずに違った価値観や視点を持つ人たちとのコミュニケーションの中で意見を交換したり議論をして時には喧嘩をしていく事で人間の本来のポテンシャルが発揮されます。

同じ意見や価値観の者同士で迎合しながら群れる事で起こるのは思考停止だけでその状態ではイノベーションなど起こり得ません。
一人一人が自分の頭で考える事で違った意見や価値観がぶつかり合い、より質の高い集合知にたどり着けるものです。
そういった今の社会に失われた純粋な心と心のコミュニケーションで繋がりを広げていく事が今の腐敗した社会を打開する唯一の方法ではないでしょうか。

もし周りを巻き込む自信がないという人がいれば、せめてこのような理想的なコミュニケーションを取って周りを巻き込む力がある人がいればそういう人の後押しや手助けをする事も良いと思います。
周りを巻き込むには当然巻き込まれてくれる人がいないとイノベーションは起こり得ません。
どれだけ天才がどれだけ良い提案をしたところでそこにノッてくれる人がいなければ始まらないのです。

なお、このような原始的かつ理想的なコミュニケーションについてはこちらの記事も読んでいただけるとより理解が深まるかなと思います。

人間が社会に適合するのではなく、
社会が人間に適合するように
人間が社会にイノベーションを起こす
これが本来の社会の在り方でしょう