それってあなたの感想ですよね

匿名掲示板2ch創設者として有名な西村ひろゆきさんの言葉で「それってあなたの感想ですよね」という有名なセリフがあります。
インターネットの普及によって"明らかに"悪質なイジメが増えているという古谷経衡さんの発言に対して、ひろゆきさんが「それってあなたの感想ですよね」と返し、その言葉が有名になっています。

最近この言葉が流行りすぎていて少し怖いなと思っています。
というのもその言葉が使われた時の状況や背景などが考えられずに言葉だけが一人歩きしているからです。
あくまでもあの発言はテレビ番組での議論の場において単なる感想を根拠のある事実であるかのように話している事に対しての返しです。
ところが、そこを踏まえずに感想を人に伝える事自体が良くないという風に誤解されているのではないかと感じています。

結論から言うと、僕は感想というものはとても大事だと考えています。
感想というのはつまりその人がどう感じたかという事で、これを軽視する事はその人自身の感性の劣化に繋がると考えています。
「ファストな時代」という記事でも書いた通り、コスパやタイパが重視される時代において人間の感性が劣化しがちなのではないかと考えている為、このセリフが本来の意図とは違った形で浸透していく事を危惧しています。

この「それってあなたの感想ですよね」というセリフが小学生などの間でもよく使われるようになっているそうですが、それもあまりいただけないなぁというのが僕の素直な感想です。
自分がどう感じたかどうかという事が軽んじられるという事がもし小学生だとか子供の間でも起きてしまっているのだとしたらそれはかなり危険な流れではないでしょうか。

無論、議論の場では一個人の感想だけで意見を主張する事が良くないという本来のひろゆきさんの意図も非常に大切ではあります。
しかしそれはある種、自分がどう感じたかをちゃんと大切にできている人にしかできない事でもあります。
自分がどう感じたかという感想を尊重するという経験を得る事で初めて物事を俯瞰して冷静に考えられる客観性というものが生まれるのです。

自分の感情や考え方をねじ伏せられてきた人というのは自信を失い、自己防衛に必死になる事で視野が狭くなります。
そのような視野が狭くなっている人は自分自身を守るにはどうしたら良いかという視点でしか物事を考えられなくなる傾向にあります。
社会全体で見た時に非常に有益な変化をもたらすような出来事に対しても、ネガティブで自己防衛的な発想になりがちで新しいものを拒んでしまうのです。

個人の感想を重視されなかった人ほど個人の感想で決めつけて議論をしようとしがちになる、これは大いにあり得るのではないでしょうか。
なんとも皮肉な結論ですが、そんな事を思いました。

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