【過去問解説】広島叡智学園中学校の社会って、どんな問題?(2022年_適性検査B)
こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。今回は、広島叡智学園の適性検査B(2021年)の問題を分析しながら、その解説を行います。
検査B_大問2の出題
2021年も、複数の資料から①「資料の分析・課題の発見」を行い、②「その解決策を考え提示する」という出題でした。広島叡智学園が重視する、探究的な学びのプロセスが再現された出題であると言えるでしょう。はじめに、以下のような設定が提示されました。
そして、その他の資料(4~6)の内容についての説明があった後に、問いが出されました。
1.答案の構成
例年と同様に字数制限はなく、罫線のみの解答用紙です。学校HPに掲載の実際の解答用紙によれば、縦15行分(課題:7行/解決策:8行)で最大約500字程度の解答欄となっています。2020年度と比べると、やや解決策を重視する字数配分に変更されたものの、概ねの合計文字数は来年も変わらないと思ってよいでしょう。(※2020年度は、課題:8行/解決策:7行でした。)
2.問題への取り組み方
それでは簡単に、問題の取り組み方・考え方について解説を行っていきましょう。実は、広島叡智学園の社会分野を攻略するにあたり、まず前提として理解しておきたい”考え方”があります。iBASEではこれを「問題解決フレーム」と呼んでいます。
⓪問題解決フレームとは?
はじめに、問題文にも登場する「問題」と「課題」という言葉を、きちんと正確に区別して理解しておくことが大切です。
「問題」とは、今起きているよくないことやその状態・様子のことです。その「問題」が長く放置されてしまうと、望ましくない状態が続いていきます。その先にある未来を「予想像」と呼ぶことにします。一方でそうした予想に反して、問題が解決された誰もが”こうあってほしい”と思い描く未来の姿を、「理想像」と呼びましょう。
この「理想像」と「予想像」の間にある大きな差を埋めるために、私たちが取り組むべき事柄のことを「課題」と呼びます。その「課題」をより具体的な計画や行動に落とし込んだものが「解決策」です。
①資料の分析し、分類する
問題内で示される資料たちは必ず、すべて何らかの「問題」や「課題」、そして「解決策」を表していたり、またはそれを考えるための手がかりになってたりします。「問題解決フレーム」を意識しながら、資料1~6について見てみましょう。
資料1からは、各地域で食料廃棄が多く生じていることが分かります。特に北アメリカやヨーロッパ、オセアニアなど、一般的に先進国と呼ばれる国が多い地域からは、他のエリアと比べ消費における廃棄が多いことも特徴として読み取れるでしょう。
資料2では、問題文中でも示された飢餓人口についての内訳が見て取れます。アジア・アフリカという、いわゆる発展途上国の多い地域に、飢えで困っている人が多いことが分かります。
資料3では、資料1・2でも提示された各地域の、今後の人口推移が示されています。特にアジア・アフリカの人口増加が著しいことが、このグラフから強く読み取れる特徴です。
資料4は、日本国内における食品ロスについてです。一般家庭におけるロスが大きな割合を占めています。この一般家庭における消費が、資料1における「消費」に分類されると気づけると、この後の解答づくりがスムーズになるでしょう。
資料5は、フードバンクについて。その数が増加し続けていることが分かります。
資料6は、「政府開発援助の様子が分かる写真」として提示されました。米作りの技術を伝える様子が示されています。
さて、様々な情報がたくさん示されました。ここから改めて、先ほどの「問題解決フレーム」に当てはめて考えていきます。
問題文でも示されている通り、資料2の飢えている人の存在が、今回問題となることは明らかです。そして資料3を組み合わせて考えると、今後も飢餓に苦しむ人々はますます増加していくことが予想されます。このような事態を避け、飢餓に苦しむ人がいない未来の状態を、理想像と定義しましょう。
資料1・4は「課題」を考えるための手がかりになっています。日本も含めた先進国においては、一般家庭をはじめとした消費時のロスが多いことが資料から分かっています。発展途上国における飢餓を減らすためには、先進国における食品ロスを活用した取り組みが有効であると考えられるはずです。資料5のフードバンクは、そうした課題に取り組むにあたって、具体的な解決策として利用できますね。
②課題と解決策をまとめる
ここまで整理が出来たら、後は順番にまとめていく作業に入ります。
「発見した課題」については、「問題解決フレーム」の左側を順序だてて説明していきましょう。出題内容にも寄りますが、今回で言えば「問題」→「予想像」→「理想像」→「課題」の順に整理して言語化すると、分かりやすく伝わる答案になります。
そのあとは「解決策」について考えます。具体的な解決策(今回で言えば、フードバンク)について詳細に述べるところからスタートし、それがどのようにして「課題」とつながり、さらにその先にある「理想像」に貢献するのかを、筋道だてて説明しましょう。時系列に沿って、因果関係を並べていくことで、分かりやすく伝わる答案になります。
3.合格への対策
①「問題解決フレーム」で世界を見る
広島叡智学園の、複数の資料が複雑に絡み合う出題に対応するためには、ここまで見てきたように様々な情報をクリアに整理する思考法を使いこなせることが大切です。そのためにまずは、学校の授業で習う様々な事柄を、ぜひこのフレームに当てはめて考えてみる癖付けをしてみてください。
たとえば、こんな感じ!
などなど、人が関わる全てのことは、このフレームに当てはめることが出来るはずです。
そして学校での授業を越えて、身の回りの日常で出会う出来事や、ニュースで流れてくる内容をこのフレームで捉えてみることにもチャレンジしてみましょう。問題解決の思考サイクルを日常から何度も回すことで、問題をクリティカルに捉え、本質的な解決策を考える思考習慣が身につきます。その先に、広島叡智学園が「重点的に育成する力」としても定めている「Creative, Critical, Thinking(新しい価値を生み出す創造的・批判的思考力)」の涵養にも繋がっていくことでしょう。
②「書く→見てもらう→書き直す」のくり返し
問題や課題が整理できたとしても、それを分かりやすく伝える答案を書くためには、さらなる壁があります。500字に迫る長い文章を、かなりタイトな時間制限の中で書き切れるようになるには、相当のトレーニングを積んでおくことが必要です。
iBASEの授業では、毎回添削課題に取り組みます。複雑な資料にしっかりと向き合い、出来上がってきた答案には講師からアドバイスをお返しします。自分で書いた文章を客観的に見直すことは、大人でも難しいものです。誰かほかの人に見てもらい、指摘を踏まえて書き直す。このサイクルを何度も繰り返すことを通して分かりやすい文章の構成を知り、そして自分が陥りやすいポイントについて自覚的になっていきます。
4.おわりに
いかがでしたでしょうか? 複数の資料が並び複雑な出題ですが、一つ一つ解きほぐし必要な対策を講じることが大切です。
広島県外からの受検も増加傾向にある中、その特殊な出題傾向にフィットした対策は難しく、お困りの方も多いのではないでしょうか。公立中高一貫対策を専門に取り組むiBASEは、広島叡智学園の専門対策に取り組み今年で3年目に入り、これまで特に広島県外から合格を目指す受検生の支持を多く頂いてきました。最後の追い込みに、ぜひご活用ください!
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