具体と抽象

【入試対策】国語力を高めるカギは「家族の会話」にある!

全国の公立中高一貫校「入試対策シリーズ」
今回は「国語分野」について扱っていきます。
非常に長文の読解が課されたり、会話文の穴埋めが求められたり、長い作文を書かされたり…。多面的な国語力が必要となる公立中高一貫検査ですが、そもそも「国語力」とは、どのようにすれば高めていくことが出来るのか。今日は、そんなお話です。


国語力を高めるために、まずは…

いろいろな保護者の方から「国語力ってどうすれば上がるんでしょうか?」と、切実にご質問頂きます。

・やっぱり読書をたくさんさせるべき?
子ども新聞を取らせるのがよい?
天声人語を書き写す?
・とにかく演習量を増やす?
などなど。

もちろんこれという絶対解があるわけではなく、お子様の現状に合わせた手段を適切に講じることが大切なのは前提として…。私たちからは、まずこのようにお答えするようにしています。

「まずは、お母さんが”この本”をお読みになってみてください」

ビジネスコンサルタントである細谷功さんが書かれた『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』というコチラの本。非常に薄くイラストも豊富で、1時間もかからずにお読み頂けると思います。

なぜ、この本を読んでいただくことが有効なのか?

すべての国語力の基礎となっているのは、「具体と抽象」という概念を正しく理解し、使いこなせる力です。この力を無くしては文章を読んだり作文を書いたり、さらには他者と気持ちのいいコミュニケーションを取ったりすることも出来ません。何よりも優先して、「具体と抽象」という考え方をお子さんに徹底して身につけて頂くことが大事であると考えています。

公立中高一貫校の適性検査では特に、難易度の高く分量も多い文章の中からエッセンスを抽出する「抽象化」の力が問われます。そして同時に、自らの体験や見聞きしたことの中から主張を支えるにふさわしい具体例を引き出す、「具体化」の力も見られています。

そのためにまず、「具体と抽象」とはどのような概念を指しており、どのような考え方で、どのような種類があるのか。お母さんご自身にまずは詳しく知って頂きたいのです。そうすることで、お子さんとの毎日の会話の質がグンと向上し、ご自宅で勉強を見て頂く際にも、観点が鋭くなるかと思います。

「具体と抽象」、うちの子は分かってる?

一方で、現時点でお子さんが「具体と抽象」の概念をきちんと理解されているのかどうか、気になる方もおられると思います。それを試すために、私たち講師が授業の中で、子どもたちに投げかける質問をご紹介します。この質問の返答により、理解度を測ることが出来ます。

「桃太郎」と「ウルトラマン」って、似てると思わない?

この質問に対して、的を射た答えを返してくれる子は、十分「抽象化」の基礎力があるといってよいでしょう。一方で意図をつかみきれない場合は、これからのトレーニングの伸びしろが大きいお子さんです。

抽象化してほしいエッセンスは「どちらも正義が悪を倒す話だ」ということ。それぞれの物語の細部を切り捨て、要素だけを抽出することが出来ているお子さんは、「桃太郎」「ウルトラマン」2つの物語を抽象化して捉えられています。よって「抽象化」の作業の基礎を、頭の中で出来ていると言ってよいでしょう。

「抽象化」力を育むために

それでは、こうした力を効率的に身につけるためには、どうすればよいのでしょうか?もちろん国語の授業も大切ですし、演習問題を解くことも有効。でも一番効果があるのは、「ご家庭での会話」の一工夫です。

国語力は、日々の会話の中で鍛えられていきます。その際、一番身近な保護者のみなさんとの会話の中で、子どもたちに「具体と抽象」の概念を意識的に育んでいけば、ペーパーテストの点数もしっかりと伸びていきます。

【STEP1】お子さんに「変化」について聞く
まず積極的にお子さんに対して「最近、変化したこと(自分が変わったこと)」を聞くようにしてみてください。なるべく細部まで、具体的にアウトプットするように促しましょう。たとえば、こんな感じです。

今日の放課後、たかしくんと一緒に中央公園で逆上がりの練習をした。たかしくんは運動が好きで、逆上がりが得意なんだって。僕はずっと一人で逆上がりの練習をしていてできなくて困ってたけど、たかしくんにコツを教えて貰った。そうしたら、その後はじめて逆上がりが出来たんだ!

【STEP2】短くまとめるように促す
ここまで話を聞いたら(冗長でも遮らず、最後まで聞くことが大切です!)、その後短くまとめるように指示を出してみてください。だいたい、口頭で10秒程度でまとめられればOKとしましょう。こんな感じに返してくれるはずです。

今日、たかしくんが得意な逆上がりのコツを教えて貰ったら、苦手だったけど、出来るようになった。

【STEP3】抽象化の練習をする
さて、短くまとめることが出来たら、最後に「抽象化」の練習です。いきなり「抽象化して」という声掛けで、出来る子はそれでOK。でも、最初は難しいかと思います。そんなときにおススメなのは、NGワードを決めること。こんな風に伝えてみましょう。

「たかしくん」「逆上がり」っていう言葉を使わずに、その話を教えてみて!

その結果、このレベルまでまとめられたら合格です!

得意な人にアドバイスを貰ったら、苦手なことが克服できた。

【STEP4】具体化の練習をする
「抽象化」が出来たら、逆の「具体化」の練習もしてみましょう。

「得意な人にアドバイスを貰ったら、苦手なことが克服できた」出来事って、逆上がり以外にもある?

こう質問してあげることで、具体化のトレーニングにも繋がっていきます。

おわりに

このようにご家庭でも日常的に国語力対策を進めて頂きながら、公立中高一貫対策を専門的に行う「iBASE」においても体系的な指導を行っています。今回の記事で解説してきた「抽象化」についても、オリジナルテキストでみっちりとトレーニングを行います。そして抽象化した思考を実際に「書く」ことを通して、作文の力も鍛えていきましょう!

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