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【良問分析】大学入学共通テストを先取り!図表分析を伴う作文(水都国際)

今回は、大阪市立水都国際中学校(2019年度)の出題を例に挙げながら、「図表作文」について扱っていこうと思います!

適性検査において、複雑な図表(調査を基にした表やグラフ)の読み取りをベースとした作文が課される学校は多くあります。実はこれ、次年度からスタートする大学入学共通テスト(国語)にも取り入れられることが予想されている、ホットな出題形式です。
今回はそんな出題を分析しながら、求められる力・対策の指針を解説していこうと思います。

典型的な出題例の紹介

今回取り上げるのは、大阪市立水都国際中学校(2019年度)の適性検査Ⅱの問題です。
非常に難易度が高く、受検者のレベルにより大きな差がつく問題。そして全国的に出題される図表入り作文課題のパターンを押さえた問題のため、他府県の志望者も取り組む価値のある課題となっています。

それでは早速、問題を詳しく見ていきましょう。(大阪市HPより引用)

大阪市立水都国際中学校(2019年度)適性検査Ⅱ 大問2
日本の観光の魅力を伝えるために、あなたは外国のテレビ局のゴールデンタイムに流す15秒のCMを作ることになりました。資料「訪日外国人の訪日旅行に関する期待内容(2016年)」を参考に、次の条件にしたがって、あなたの考えを書きなさい。
条件1:資料の観光目的 (1)~(19) より3つを選び、それらを選んだ理由もあわせて書くこと。
条件2:CMの具体的な内容について書くこと。
条件3:360字以上400字以内で書くこと。

大阪_入試問題図

さて、ぜひ投稿をお読みのみなさんも小学生に戻ったつもりで、少し方針を考えてみてください。(本番の制限時間は、30分程度!)

問われる力と解答プロセス

はじめに、大阪市立水都国際中学校が発表している「採点基準」について確認しておきます。

(40 点満点)※①~③の番号は、筆者により追加
問題の意味を正確に読み取れているか。
②資料の内容を踏まえて、多面的に思考し自分の考えが論理的に表現されているか。
③文の組立て等の基本事項が守られているか、誤字脱字がないか、原稿用紙の使い方が適切か、字数が守られているか。  等

③の基本事項等については、おそらく減点方式での採点が予想されるため、今回は触れません。①・②の観点について、重点的に見ていきましょう。

①問題の意味の理解(=条件の整理と定義)
実はこれ、解き始め(問題の意味の理解)で答案の質に大きな差が出てしまう問題です。公立中高一貫対策の「iBASE」では、「問題の意味の理解」を「条件の整理と定義」と言い換えて、指導にあたります。なぜ、条件の精査が大事か? それは、出題者は意図的に「条件に不足を作った状態」で作問するからです。

どういうことか、具体的に見ていきましょう。今回の問題における「不足している条件」とは、「CMのターゲット」です。「CM」はもちろん日本の魅力を伝えるためのものですが、「誰に(どんな人に)」伝えるのかを作文の冒頭に、自分で定義しなければ、作文が進められない設定になっています。

たとえば、以下のようなパターンです。

■CMのターゲット定義例
【A】
日本観光について全く興味が無い人に、興味を持たせる
【B】日本観光についてすでに興味がある人に、旅行の後押しをする
【C】1度日本に行ったことがある人に、2度目の旅行を勧める

…ほら!この「定義」の違いによって、この後の資料の使い方や作文の進め方が全く違ってくることがわかりますね。このように、資料の使用を前提とした作文の場合、問いを正確に分析し、そして意図的な条件の不足を補う作業を通して「条件の整理と定義」を行う必要があるのです。

②多面的な思考・論理的な表現
さて以上のように「条件の整理と定義」を終えた後は、いよいよ資料の読み取りに入っていきます。もう一度、載せておきますね。

大阪_入試問題図

まず実感いただきたいのは、先ほど定義したCMのターゲット【A】【B】【C】それぞれによって、資料で見るべきポイントが異なってくるということです。

※再掲:CMのターゲット定義例
【A】
日本観光について全く興味が無い人に、興味を持たせる
【B】日本観光についてすでに興味がある人に、旅行の後押しをする
【C】1度日本観光したことがある人に、2度目の旅行を勧める

たとえば…
【A】の場合:まだ興味がない人に対してCMを届けるわけですから、観光客に人気の高い、(1)日本食・(2)自然・景勝地観光・(5)繁華街の街歩き・(6)ショッピングなどを選択するのがよいでしょう。

【B】の場合:すでに興味がある人には、みんなが知っているポイントではなく、「実は知られていない魅力」を伝えると、更に行ってみたくなるかもしれません。(7)美術館・博物館・(8)テーマパーク・(18)ポップカルチャーなどを選択してみてはいかがでしょうか。

【C】の場合:1度行ったことがある人に対して再訪を勧めるには、グラフの一番右「次回の訪日旅行」の欄を見ればよいですね。その中でも、訪日前の期待値よりも数値が大きくなっている項目を選択するのがよいでしょう。具体的には、(13)自然体感ツアー・(14)四季の体感/(3)温泉入浴などがぴったりです。

このように、「条件の整理と定義」に従って資料を見ていくと、注目すべき観点が全く異なってくることが分かりますね。自分が決めた定義に沿って資料を見ることで「多面的」な見方が浮かび上がり、そして資料を「論理的」に読み解いていくことが可能になるのです。

図表作文の出題に対応するために

ここまでお読みいただいた方にはわかって頂ける通り、この図表作文はかなり高度な力が問われています。そして受検者は、そうした問われている力をクリアに分解しながら、的確な対策を打つことが必要。「なんとなく書いて、なんとなく添削してもらう」ことのくり返しでは、太刀打ちできない難易度なのです。

「iBASE」国語科の作文専門チームでは、上記のような「条件の整理と定義」に従った資料読解、および「多面的で論理的な作文練習」の2点を丁寧に指導していきます。全国の公立中高一貫校の過去問、約15年分の出題から難易度・テーマごとに良問を抽出。上記のように「見るべき観点」や「思考プロセス」を徹底的にレクチャーしながら、皆さんの書く力を鍛えていきます。

これまで約1,000人に及ぶ小学生の作文を指導し添削してきた経験を持つプロフェッショナルチームによる指導に、ぜひご期待ください!

今回は大阪市立水都国際中学校の作文課題を解説しました。次回以降も、全国の公立中高一貫校を対象に、独自の入試問題を分析していきます。正しい情報と的確な分析を、志望校の合格にお役立ていただければ幸いです。次回もお楽しみに!

※詳細についてのご質問がございましたら、お気軽にコメント欄またはTwitterのDMからお寄せくださいね!

※参考:作文に関する投稿

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