演劇ってなに?(木村編)

このnoteを開いた皆さん,初めまして.
茨城大学演劇研究会4年の木村です.

そもそもの話

突然ですが演劇ってなんだと思いますか?

高校や大学になんとなく存在する「演劇部」,社会人の加入する劇団での活動,アニメやゲームの舞台化とそれを演じる役者.
演劇にはベースとなる台本があり,そのセリフを役者が読む.
一般的なイメージはこの程度かなと思います.
おおよそ正解です,彼らは決められた流れに沿って言葉を紡いでいます.
ただ紡ぐと言っても世界観を保つために衣装や小道具,セットを作成する.
照明や音響により,舞台転換をスムーズに行い,要所で印象を観客に刻み込む.
といった工夫を行っています.

似たようなもの,既にありますよね.テレビドラマです.
あちらも同じような事をしています.演劇と違うのはシーン毎にカットし編集を行ったものを放送している点でしょうか.失敗したシーンはカットして何度でも撮り直せる,ああなんだ,それならドラマでいいじゃないか.
なぜわざわざ「一発撮り」のような演劇に拘るのか?

演劇に拘る理由・・・それは
人それぞれ,他の人は知らん.

いやすみません,ちゃんと言います.
世の中には食事や音楽等,五感をくすぐるもので溢れています.
料理人でも音楽は聞きますし,音楽家でもお高い料理は食べます.
「なんて良い曲なんだ」,「なんて繊細で美味しい料理なんだ」
何でもいいんです,人の感情を揺さぶる媒介は.
人→音→人,人→味覚→人,人→見た目→人
ただそこに「人→演劇→人」が好きな人が居る.
つまり

Q.演劇ってなんですか?
A.演劇とは人同士を結ぶ感受的媒介です.

(※ 私は音楽家,料理人,演劇人,画家等,感受的媒介を通して発信している人を芸術家と定義しています)

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演劇は贅沢ではなく,感情への点火装置

なんでもいいんですキッカケは
小さい頃に見たウルトラマン,仮面ライダー,戦隊モノ,プリキュア.
誰もが何かに憧れてこぞって真似をしましたね
あれも演技の部類に入ると思います.
そう考えると案外演劇って身近に居るような気がしませんか?

2020年から流行した感染症,どこの誰もが「人と会うのはやめよう」,「非常に危険だから」と対面行事が全て無くなりました.
判断自体は間違っていないと思います.
「いつか…いつか必ずあの頃と同じような…」と色んな人が願ったと思います.芸術家は特に.
密集するからミュージックライブは駄目,展覧会を開いてはいけない,遠方からファンが来るからコラボカフェは営業するな.
世の中が感受的媒介である芸術に対して消極的且つ暴虐的になっていると感じた事が幾度となくありました.

芸術とオンライン(遠隔)は非常に相性が悪い傾向にあります.
ライブはオンラインで映像が見れるから対面の必要がない,絵画を電子データ化したのでいつでもネット上で見られる.
じゃあ料理は?
見た目の整った繊細で美しい料理は料理人のいるお店に行かないと食べられません.
ライブも絵画も同じです,ライブ会場の空気感や飾られている絵画の凸凹感を静かに眺める人だかり等の雰囲気が損なわれてしまっています.
雰囲気という言葉は何となく濁してしまうネガティブな雰囲気がありますね,言い換えます.

リアリティ(迫真性,現実性)の欠如です.

これは贅沢ではなく人が生きるために必要な休息です.
芸術は,どんなに困窮切迫していても,誰にも奪う事が出来ない恒久的で皆の心に潜在しているのです.
出来るなら,もし可能ならリアリティを肌で感じたい.
そりゃあ…大学の授業は出席が楽なのでオンラインの方が良いですけど,,,
基本的に対面の方が楽しいと思えませんか?
人と会うのはやんわりと燃えるアルコールランプ,好きなアイドルのライブに行くのは激しく燃えるキャンプファイヤー.
誰の心の中にも燃料はあります,芸術は火を点けるための点火装置なのです.

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感情を揺さぶるラリアット(まとめ)

その人によって好みは分かれる,当たり前です.
「うちの冬公演を観ましょう!」とは言いません.
このnoteを読んだ人が演劇に興味を示してくれればそれだけで.
日々の生活が憂鬱になってしまったと感じた時,好きな人に会いに行ったり,好きなものを食べたり,,好きな音楽を聴いたり,好きな映画を観ましょう.
新しい全く知らないものに手を出してみるのも良いと思います.
時折訪れる大きさの分からない点火装置に身を委ねてみる事も…
出来る事なら心の炎が,か細く消えてしまう事の無いように.
 

         またどこかで会いましょう
                        木村


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以下,公演情報です.

茨城大学演劇研究会2022年冬公演
『サカシマ』
脚本 斜田 章大
演出 山下 航輝

〈あらすじ〉
地上まで残り、百メートル。

日野陽毬は今、落下している。
姉が飛び降りたビルの屋上から、地面の底へ。

残り寿命は約五秒。
この物語はその五秒間に見た走馬燈の話。

落ちる、落ちる、サカサマに、サカシマに。

〈出演者〉
橋本 萌果
畠山 悠衣
西野 准平
立花 樹
齋藤 楓菜
金澤 勇翔
西尾 愛菜

〈日時〉
12月17日(土) 11:00~/15:00~
18日(日) 11:00~/15:00~
(20分前開場、全席自由席)

〈会場〉
茨城大学水戸キャンパス構内
サークル棟2階共用練習室1

〈料金〉
一般700円
大学生以下500円

〈お問い合せ・チケット取り扱い〉
メール ibadai.enken@gmail.com
Twitter @enken_i
または、各劇団員まで。


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