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ペルー アマゾン一人旅 2       カヌー少年


こんな所で指笛で人を呼んで 誰が来るというのか。
盗賊の仲間?

しばらくして、おじさんの指笛に応えるように少年(6、7歳ぐらい?)が沼の向こう岸のブッシュの中からに ひょこっと現れた。
そしてカヌーに乗ってこちらに来た。
おじさんが少年に話してくれて、向こう岸まで乗せてくれるみたいだ。
カヌーの少年の後ろに乗って、沼を進む。
体より大きい櫓を操って小さな体でカヌーを漕いでくれている。


カヌーを漕いでいる少年の後ろ姿があまりにもいじらしいのでカメラのシャッターを押した。 カシャッ

ここではじめて ちゃんと道を教えてもらう。
これまではいつも「ずーっと行った所」「あーっちのほう」ぐらいしか教えてもらえなかった。
まあ、ずーっとジャングルの中だから目印や交差点があるわけではないので、 そうしか言えないし、正しいとも言えるが。

そのあとまた2時間ほど歩いて、やっと湖に出た。そこから対岸までボートに乗せてもらう。薄紫色の鏡のような湖面をボートが静かに滑って行く。一日でいちばんきれいな音のない時間。疲労と安堵感で放心状態の私。

石や穴だらけの、ほこりの舞い上がる地道だけど、
人間が作った道、しかも輪だちまである道を見て、心底ほっとした。

私はもう動物として弱すぎて、文明の圏外に出ると、一日も生きてはいけないということを痛感した。
乗り合いトラックがエンジン音を響かせ、砂埃を巻き上げやって来た時、おんぼろトラックが最先端の機械に見えた。騒音がとか排気ガスがとか悪口を言ったことを反省する。
乗り合いトラックの荷台に乗せてもらって街まで行く。
街、人間のいる所はイイ。少なくとも動物や虫たちに食べられることはないはず。
道、車、人、街 サイコー!
その瞬間
少年は振り向き、恐怖で引きつった顔で「それは何だ」と言う。
「カメラ」と答えたら「カメラって何だ」と言った。
向こう岸に着くやいなや、少年は後ろをふり返らず、小動物のような俊敏さででジャングルの中に逃げていった。
       
続きの道、おしえてほしかった、、、。
呼んでももう帰って来てくれない。
向こう岸のおじさんの姿ももうない。
あのおじさんは、純粋に親切なおじさんだったのだ。
疑って武器を手に持っていてごめん。

そして ついにジャングルにひとりっきり。

。。つづく。。



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