消失を流す私たちの親指
友人のお父さんが亡くなったと、SNSを通じて知った。まだ50代、突然の知らせである。
死っていうのは、概念としては全く消えてしまうことを示すけれど
物理的な意味では、人は死んでも動かない体が残る。
消えたと思うのに消えていなくて、
消えていないのに元に戻らない。
一連の投稿を見ながら、私はそんなことを考えていた。
しかし友人の投稿の合間には、他の人たちの楽しげな投稿が入り込む。
何日かすれば、友人の泣こうにも泣けない戸惑いを含んだこの文章も、どんどん流されて見えなくなる。
言葉の重さによらず、多数の人が打ち込んだ文字は今日も画面上を流れ去っていく。
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