葉子さんが心の底から羨ましい | 2023/12/24
江國香織さんの「神様のボート」を昨日読み終わった。
母と娘のストーリーが、自分の中にある家族の問題に触れる瞬間もあって、苦しくもあり、微笑ましく思えた。
お母さんという大人の世界と、娘の世界と。それぞれ交互に書かれている。
それぞれが見えてる、同じ時間で別の世界を行ったり来たりする。
一方的ではなく母と娘の関係が、対等であることを感じ取れる。
そんな関係性を想像できる素敵な構成だった。
2人の名前も「葉子」と「草子」という共通点のある名前もまた、可愛らしい。
あんなように、旅をしながら自由気ままに生きる彼女が羨ましい。
この土地に馴染まないと決め、さすらいながら当たり前のように誰かを巻き込むことを厭わない。
自分の元から一度離れた男性に想いを馳せ続けている。「絶対、どこに居ても私を見つけ出す」
その絶対なる信頼感を持てるひと。そういう姿を見たとき、私は心の底から彼女が羨ましいと思った。
私は、葉子さんが心の底から羨ましい。
私はそう思ってしまった。
ずっと。ずっと恋をし続けているのだ。
誰かを想い続け、付き合っていた時の出来事や思い出が、彼女を支えている。
当時付き合っていた男性と、当時の思い出に。
とても夢見心地で、ふわりふわりとしている彼女の様な女性は、私の中では否定して生きてきた。
そんな私が、心の底で「彼女が羨ましい」と。
そう、思ってしまった。
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