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今からクリエイターを目指してリスキリングする人に対して動画クリエイター10年選手が伝えたいこと

先日、「週1~可、動画編集できる30代女性探してます」という広告に遭遇しました。
リクルート系の広告かな〜どんな条件なんだろう、と思い開いてみると、フリーランスの方が運営している動画制作が学べるスクールの広告でした。仕事をくれるのではなく、そんな働き方したいなと思ってる人に学習を促すような目的の広告だったようです。
ソフトウェアの扱いはどんどん簡単になり、YouTubeでも独学で学べるような世界では全人類総クリエイター時代がくるだろうななんて思うんですけれど、クリエイターという働き方はいまだに憧れの職業であるようです。

私はデジタルハリウッド大学を卒業して色々あって今はクリエイターの仕事をしながらデジタルハリウッド大学で教えています。転職のためにではなく学問としての学びを提供する仕事をしています。最近は学生さんから「こんな仕事に就きたいから勉強する」などの声も聞きます。悲しいです。悲しいと思っています。(理由は後述)

リスキリングという言葉をよく聞くようになってからというもの、Webデザイン、動画制作、プログラミング分野はとにかくスクールが乱立しています。インフルエンサーが自ら運営しているものから長年専門学校を経営している会社が運営するものまで多種多様です。価格もピンキリです。
私は大学時代までずっとストリートダンスをしていて、今でも社会人サークルに所属しているのでクリエイターではないお仕事をしている方とのプライベートでのお付き合いも多いのですが、クリエイティブ学びたいという相談をいただくことがよくあります。
それができることを増やしたいという想いからのものであれば良いのですが転職して給料を上げるとかフリーランスで自由に働くとかそういうのを目的としてると学びの過程において辛くなりやすいのでおすすめしたくないなと思ってしまいます。

そもそもクリエイター職、今そんな儲からないです。
やりたい人が増えれば新人さんが増え、新人さんが増えると仕事の取り合いになる。わかりやすく言えば価格競争をせざるを得ないわけです。そんな世界で未経験の状態から急にフリーランスなんて到底なれるわけがありません。5年くらい前でしたら良かったかもしれないですが、今は正直「良い時代」とは言えません。ディレクションができれば話は変わりますが、未経験でディレクションができる人なんてほとんどいないでしょう。
ではプログラマーは?というとChatGPTに怯えてる人が増えています。AIが賢くなればプログラムを書くことだけでは仕事にならなくなる。そうなると設計をしたり、ミスがないかをチェックしたり、新人さんではなく上長さんがやる仕事が人間に残されるわけです。

で、急にディレクターにはなれないし、じゃあ最初から勉強して転職しようとするのが間違ってるんじゃないか、というとそうではなくて

そもそも、学びというのは人生において喜びにつながるものであると私は考えています。リスキリングという言葉で括られて、転職のために学ばないといけないと思ってクリエイティブを始めるという心構えより、よりよい人生のために新しい技術を学ぼうと思って始めてもらう方が絶対に続くし、良いクリエイターになれると思います。

大人になってからの学びってすごく楽しいから。だから、稼げないなら意味がないと思わず、今までの人生から地続きの中にクリエイティブのスパイスを加えてより良い働き方ができるように、今までを捨てて何かになるんじゃなく自分のまんまで何か作れるように、そんなために学びを続けて欲しいので初学者に対して教える時は、いろいろ触ってみて楽しくやってもらえるように意識しています。

〇〇という仕事に就くために、ももちろんいいんだけど、〇〇が好きだからを主語に置いてもらえると嬉しいので、学び始めから仕事のことばかり気にされちゃうと悲しい…もちろん将来の夢のために勉強するのはいいことです!言い回しとして好きだからを前面に出してほしいなって思ってます。

それから、クリエイター職に就く人たちは「作らないと死んじゃう人」が多いということも忘れないでください。作りたいが原動力であれば、学ぶことがもっと楽しくなるはずです。

とにかく稼げるように、仕事にするには、ばかりではなく、知識とスキルを得てそれから何になるかを考えるリスキリングとして、ぜひ学びを楽しんでいきましょう。私もまだまだ勉強していきます!


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